| 三 婆 |
| 1961年2月「新潮」 |
ある男の本妻と妾と小姑(男の妹)の3人の老女がともに生活する話。
年寄同士のせめぎ合いが、ユーモラスに描き出されている。
| 感想 |
| 最初はいがみ合っていたのに、老いた後は助けあって生活せざるを得なくなってしまう。悲劇と言うのか、喜劇と言うのか…。まだ「婆」と言われるには間があるせいか、あまりピンとはこない。 |
| あらすじ |
| 金融業で財をなした浩蔵は、晩年、茶道に熱中し、広い敷地内に茶室やら庭やらを幾通りも作らせた。空襲で家が焼かれてしまうと、仕方なく、妹のタキの家に妾:駒代と共に転がり込む。すると駒代を嫌っていたタキは、当てつけに本妻の松子を疎開先から呼び寄せる。敗戦後、タキの家が進駐軍に摂取されることになり、一同動転している中、浩蔵は急死。いがみ合う3人の女に「まあ、どないど考えて、仲ようせえや」と言っていたのが遺言になってしまった。家も主も無くした若くもない女3人は、結局、茶室と庭の集合した邸内に移り住むことに。当然の権利として最初に住み始めた松子は、後に移って来たタキを嫌い、立ち退きを命じるが居付かれてしまう。駒代まで、料理屋を始めるまで一時的に置いて欲しいと言って来る。張り切る駒代の姿に刺激され、金儲けの手段を考えていた松子は、まだ空いている茶室を貸すことを思いつく。ところが入居希望者が間違ってタキの許を訪れたのをいいことに、タキは勝手に家賃を決め、半年分を巻き上げてしまう。そんなことで、次々入居する店子の目前で松子とタキの陰湿な争いが繰り広げられることに。一方、商売の話で景気が良かった駒代は詐欺に遭ってしまい、ショックから急激に老け込んでしまう。 元の店子であった夫婦が、近くに来たついでにと何年振りかで松子の許を訪ねてみると、3人の老婆たちは寄り添って生活しているのであった。 |
| 本文より抜粋 |
*元店子が松子を訪問したシーン*・・・「駒代さんは、どこが悪いんですか」「あら、私ですか」言葉は若いのだが、舌の動きがのろいので、波長の違うレコードをかけているようである。「頭がねえ、悪くなってねえ」「頭が」横から松子が、「駒代さんは一度松沢へ行ったんですよ。気が狂ったって、お医者が云いましてねえ。だけどあんた、気違いになったわけじゃなかったのねえ」「そう、頭がすっかり悪くなったんですよ。それからは家も詰まっていたし、此処で仲良く暮らすことになってねえ。耄碌したんですねえ、女中なしでもいいようにやれるんですよねえ。・・・」 |
| 収録書籍*〜*〜* |
| 『三婆』新潮社・新潮文庫 新潮社有吉佐和子選集第1期第11巻『華岡青洲の妻』 新日本文学全集4『有吉佐和子』集英社 日本短編文学全集37『平林たい子・円地文子・有吉佐和子』筑摩書房 |
| 参考情報*〜*〜* |
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