| ほむら |
| 1958年5月「別冊週刊サンケイ」 |
媼と女中のまよの日常を描いた話。媼が長年供養してきた僧侶に、年頃のまよが興味を持つようになるが・・・。
僧侶の反応と、媼の意外な対応が描かれる。
| 感想 |
| 媼は庵を寄進して、長年、僧の世話をしてきた。しかし、彼が若いまよの誘惑に惑わされなかったことで、媼は僧に腹を立て、突然、追い出してしまう。 どうして腹を立てたのか、私には少々理解が及ばなかった。媼が供養を続けて来たのは、僧の女に対する考え方を改めさせる意図があったのだろうか。すなわち、心でも女を求めるように、女が如来に匹敵するほど高邁な存在である、と悟ることを期待したのか。20年も養ってあげたんだから、そう思い直しても不思議はないだろう。・・・と、こんな風な受け止め方で良いのかな? |
| あらすじ |
| 媼の家で奉公し始めて10年になるまよ。料理の腕も上がり、これまで媼が用意していた隣の庵に住む僧への食事も、まよに任されることになった。声を掛けて、返事がなければ、膳を置いて戻るようにと言われていたので、僧に会うこともなく、数日、膳の上げ下げをしていた。料理はきれいに平らげられてはいるが、用意した膳に対する反応が何もないことに苛立ち、ある日、まよは僧の膳に魚を盛った。媼は呆れながらも、まよの気持ちに理解を示し、庵に住ませている僧のことを話してくれた。 ちょうど二十年前、川の辺で横になり、夢にひどくうなされていたのを助け起こして、家に連れてきた。僧は京都で修行中に女犯のとがで寺を追われたと言う。心は女を求めてはいないのに、肉体が女を求めていることに悩み、独りになろうと京から離れて来たとのことで、媼は庵を寄進すると申し出たのだった。 僧は魚を残さず食べ、媼は、精進の掟を超えた僧を喜び、翌日からは庵に上がって給仕するようにとまよに言う。給仕をするようになると、まよは僧に思慕を抱くようになる。媼は、そんな彼女に、給仕のときに僧の胸に身を投げてみるようにと言う。まよがその通りにしてみたところが、僧は修業の甲斐あって、もう女に迷わされることはなくなったと言うのだった。 まよが戻って報告すると、媼は怒って僧を追い出し、庵に火をつけて燃やしてしまう。立ち上るほむらを見上げながら、媼は無駄な供養だったと大笑するのだった。 |
| 本文より抜粋 |
| 「女にかけた煩悩を、抱きつかれても感じぬほどまでに干しあげた、か」 僧の言葉を吐き捨てて、それからまよに聞かすともなく呟いたのである。 「二十年、無駄な供養をしたものじゃ。無駄な・・・・・・」 |
| 収録書籍*〜*〜* |
| 『ほむら』講談社 |
| 参考情報*〜*〜* |
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