| 青空の歌 |
| 1959年8月「日本」 |
か弱くてナイーブな男子学生が、心身ともに逞しい女子学生に惹かれていく話。
| 感想 |
| ちょっと微笑ましい内容。学食でともにラーメンを食べるシーンがあるが、川本クンがラーメンの熱さと丸根さんにかけられた七味の辛さのためになかなか食べられずにいるのを、さっさと自分の分を食べ終えた丸根さんが、手伝ってあげようかと声をかけるのには笑った。こういう大らかなところに川本クンは惹かれたのかな。 アドバルーンをあげるという仕事にも詳しくなった。爽やかな作品である。 |
| あらすじ |
| 川本保夫はアルバイトを探して、「青空広告KK」を訪れる。階段の途中で体格の良い女性とすれ違うが、彼女も同じ会社に面接に来ていたのだった。仕事はアドバルーンを上げて、監視しているというちょっとした肉体労働で、川本より体格が良いにも関わらず、丸根敦子は女性であるということで拒否されていた。採用された彼は、晴天の日はアルバイトに、雨の日は休業なので大学へ通うように。ある雨の日、大学の構内で敦子と会う。同じ大学だったのだ。しかも不採用だと思っていたアルバイトも受かっていたと聞き、驚く。 ご成婚ブームで商売繁盛かと思われた青空広告だったが、さほど振るわず、川本は間もなくお払い箱に。仕方なく大学に通っていたある日、また敦子に会う。彼女はまだアルバイトを続けているそうで、川本のことをまた雇ってくれるように専務に頼んであげると言う。再び勤務するようになると、彼は敦子と組んで仕事をすることになった。他の男子学生は敦子に耐えられず、いざこざを起こしてしまうのだが、川本だけはそんなこともなく、従って常に敦子と組まされていた。そして川本は、いつの間にか、敦子に恋心を抱くようになるのだった。 |
| 本文より抜粋 |
| 「女に黙って悠然としていられると、苛々して我慢がならないっていう男がいるんですよ」 なるほど栗山のような優等生タイプは、敦子の天衣無縫には却って劣等感を覚えてかなわないのかもしれない。するとウマが合うという自分は、いったいどういうことになるのだろうかと保夫は戸惑いを感じたが、しかし摩擦がないと云うなら敦子とはかつて一度も不愉快な感情的な軋轢はなかったと思う。日頃は劣等感の塊みたいな自分が、スーパーウーマンのような敦子の前で却って自由で寛やかな気持ちになっていることを、保夫は感じないわけにはいかなかった。 |
| 収録書籍*〜*〜* |
| 『祈祷』講談社 |
| 参考情報*〜*〜* |
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