コラム 第15回
望遠鏡を買いたい1998年8月 書き下ろし トップページへ戻る |
| A「もしもし。」 B「はい。こちらは自然科学館です。」 A「息子にせがまれて望遠鏡を買うことになったんですけど,何かいいアドバイスがあったらお願いします」 B「どんなものが見たいんですか?」 A「月のクレーターとか,土星の環とかが見たいようです。何倍ぐらいの望遠鏡を買えばいいんでしょうか?」 B「望遠鏡の倍率はのぞくところにある接眼レンズが小さければ小さいほど大きくなります。土星の環がわかるには30倍ほどが必要ですね。月のクレーターや木星の衛星なども十分わかりますよ。」 A「そんなものでいいんですか。」 B「詳しく見たいというなら100倍とか200倍とか,もっと倍率を高くしなければいけないでしょうけど,そうなると望遠鏡の口径(レンズや鏡の大きさ)が重要になってきます。」 A「なぜそれが重要なんですか」 B「大きければ大きいほど集まる光が多くなるからです。人間の瞳の大きさは約7mmといわれていますが,10㎝のレンズや鏡だと人間の目の約200倍ほどの光を集めることができ,その分暗い星や細かいところが見えるようになります。」 A「なるほど。高い倍率で見えるからといって,良く見えるわけではないんですね。」 ![]() A「ところで,レンズとか鏡とかって言ってましたけど・・・・」 B「レンズを使ったものは,光がレンズを通るときに屈折して集まるので屈折望遠鏡といいます。鏡(凸面鏡)を使ったものは,光が反射して集まるので反射望遠鏡といいます。」 A「それぞれの長所短所を教えてください。」 B「屈折望遠鏡の良さは,気軽にあちこちふりまわせることですね。反射望遠鏡の良さは同じ値段であれば,屈折望遠鏡のものよりずっと大きな口径のものが手に入るということです。それに色のにじみもありませんし。」 A「色がにじむ?」 B「レンズは1枚だけだと,プリズムのような役目をしてしまうんですね。そこで,何枚かのレンズを組み合わせて色を消すようにしています。その分高価になってしまいます。」 A「何だか,反射望遠鏡の方がいいみたいですね。」 B「そうとばかりは言えません。反射望遠鏡は,鏡が集めた光を横や後ろから見るために,もう一枚鏡入れて向きを変えます。その角度や位置が正しければいいのですが,それが狂ってしまうと屈折に比べて見え方がうんと悪くなってしまいます。たまに調整してやらないといけないので,屈折望遠鏡より手間がかかります。」 A「いいことばかりではないんですね」 |
B「ところで,同じ大きさのレンズや鏡でも,値段がだいぶちがうのがあるんですが…」 A「それは,望遠鏡をのせる台(架台)の違いですね。大きく分けて,経緯台式のものと,赤道儀式のものとがあります」 B「どうちがうんですか?」 A「経緯台式のものは,水平方向と上下方向の2方向に自由に向けることができるもので,構造も取り扱いも簡単です。」 B「それで十分なような気がしますが,赤道儀式だと何 かいいことがあるんですか?」A「星は北極星を中心に円をえがくように動きます。経緯台式だと,水平,上下のハンドルを絶えず動して星を追わなければなりません。赤道儀式のものは,一方の軸を北極星の方向に向けておくことができます。ですから,一つのハンドルを動かすだけで星を中央にとらえておくこと ができます。」B「そういえば,息子が天体写真が撮りたいって言ってたんですけど,どちらの方が向いていますか」 A「経緯台式のものでも,月など,短時間で撮影できるものなら写真は撮れます。ただ,惑星や星の写真などを撮るためには,星の動きに合わせて望遠鏡を動かす必要があるので,赤道儀式のものでないと難しいでしょうね。」 B「星の動きに合わせて手で動かさなければならないんですか?」 A「星の動きに合わせたモーターをつければ,自動で星を追っかけます。「モータードライブ」というもので,だいたいのメーカーのものでしたら望遠鏡のカタログにのっています。」 B「天体写真を撮るなら赤道儀式のものを選んだほうがいいということですね。」 A「その他にも何か気をつけておくようなことはありますか。」 B「とにかく架台のしっかりしたものを選ぶことですね。さわってみてぐらぐらするようなものは避けた方が無難です。 それと,安い買い物ではないので,目的をしっかりさせて中途半端なものを買わないようにしたいですね。望遠鏡には,今挙げたものの他にも,卓上用の小さなもので星に合わせて自動的に動かすことができるものや,口径が大きくても,紙などで筒を作ってあるので持ち運びができるものなどがあります。また,双眼鏡や野鳥観察用のフィールドスコープのようなものでも十分楽しめると思います。」 A「わかりました。もう一度息子と相談して決めます。どうもありがとうございました。」 |
| 参考文献 :えびなみつる著「星を見に行く」「続・星を見に行く」 藤井 旭著「藤井 旭の天体望遠鏡のABC教室」 いずれも 誠文堂新光社 |
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