コラム 第33回 「水星観望にチャレンジ!」

      夕方西の空低く見つけるチャンス!
    2000年6月 4日新潟日報「科学サロン」掲載(一部加筆) 

 水星は,私たちの地球と同じ太陽を回っている惑星です。直径は地球の半分以下ですが,金星,火星に次いで地球に近く,シリウス(一番明るく見える恒星)をしのぐほどの明るさになる時もあります。  
 ところが,水星を肉眼で見たことがある人はなかなかいません。「地動説」で有名な天文学者コペルニクスは,水星の存在を予言しながら生涯見ることがなかったという逸話さえ残っているほどです。
 水星は,太陽の一番近くを回っています。水星よりも外側を回っている地球からは,いつも太陽の近くに見えます。このため太陽から離れた時でさえ日没直後の西の空か,日の出直前の東の空にしか見ることができません。
 6月の初旬の水星は太陽から離れていて,夕方〜日没後,西の空低く見えます。6月9日に太陽から最も離れるので,前後一週間ほどが見るチャンスになります。ただ,どんなに明るい星でも,高度が低くなると空気中のちりなどの影響で暗くなってしまい,目印がないと肉眼で見つけることは難しくなってしまいます。
*肉眼で見えるようになるのは日没(午後7時ごろ)後20〜30分かかるのでさらに高度は低くなります。
  6月4日の新潟は寒気が入り雲の多い天気でしたが,水星のすぐ左側に目印となる細い月(月齢1.9)がありました。 日没後25分たった頃から7倍の双眼鏡で月と水星が同じ視野で見えはじめ,しばらくすると,きらりと光り輝く水星を肉眼で見ることができました。

6月4日の月と水星(下の画像の一部)

 次回,水星が夕方西の空低く見えるのは10月になりますが,このときは高度が低いので,今月半ばまでが肉眼で見る今年最後のチャンスになるでしょう。(7月下旬〜8月上旬の明け方,東の空低くなら可能)
 水星の表面の様子は,長い間なぞにつつまれていましたが,1973年以降に打ち上げられた探査衛星によって月のようにクレーターだらけであることがわかるようになりました。クレーターには,文学,芸術関係の偉人の名前がつけられ,「安藤広重(ヒロシゲ)」「井原西鶴(サイカク)「運慶(ウンケイ)」「柿本人麻呂(ヒトマロ)」「狩野永徳(エイトク)」「紀貫之(ツラユキ)」「黒沢琴古(クロサワ)」「鈴木春信(ハルノブ)」「清少納言(セイ)」「世阿弥(ゼアミ)」「俵屋宗達(ソウタツ)」「二葉亭四迷(フタバテイ)」「藤原隆能(タカヨシ)」「紫式部(ムラサキ)」「吉田兼好(ケンコウ)」といった日本人15名の名前も挙げられています。*かっこ内はクレーター名



細い月と水星のある風景
2000年6月4日PM7:40

135mm F5.6  3秒露出
ASA800ネガフィルム使用

新潟市にて撮影
*下は万代橋
  三角屋根の建物は
  NEXT21





佐渡島と月・水星
 上の写真の翌日,新潟市の小針浜に水星を探しにいきました。左上の丸い光芒が月齢2.9の月です。この日は低空に薄雲があったため,水星は双眼鏡でやっと見ることができました。画像では中央やや下よりのところにかすかに写っています。上の写真と比べると,わずか1日の違いで月と水星の位置関係が変わっていることがわかります。
 中央上に2つ並んでいる星は,ふたご座のカストル,ポルックスです。

*写真データ  2000年6月5日 PM8:02 50mmF5.6 5秒露出 ASA800ネガフィルム


昼間に撮影した水星
新潟県立自然科学館60㎝反射望遠鏡+K40mm
 SONY Digital Mavica MVC-FD88にて撮影
*透明度の良い日であれば,望遠鏡を使って昼間に水星を見ることができます。
ただし,望遠鏡の位置(極軸)が合っていることと,ある程度大きな口径(15cm以上)が必要でしょう。
昼間に太陽などを見せてくれる公開天文台もありますので,リクエストしてみてはいかがでしょうか。



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昼間に撮影した金星の画像集