SWAN SONG レビュー

その夜。それまで通り過ぎるだけの他人だったぼくたちは
大きな運命の煮えたぎる一つの釜の中に投げ込まれてしまった。

まもなく一年を終えようとする12月24日。降誕祭の前日。
その山奥の都市には昼頃から雪が舞い落ちて、ホワイト・クリスマスを祝う喜びに満ちた空気が街中を覆っていた。
レストランや駅を飾るイルミネーションは、陽が落ち、人々が眠りについた後も、しずかに瞬いていた。

その幸福な眠りを乗せた大地が、突如として揺れ、そして平和な世界は一変する。

アスファルトは裂け、建物は崩れ落ち、暗闇のあちこちから恐ろしい悲鳴があがった。
ごく平穏な住宅街の光景は、瞬時にして地獄の景色となる。
その街で一人暮らしをする大学生尼子司は、混乱の中で奇跡的に一命を拾った。
廃墟のなかを彷徨ううちに自閉症の少女八坂あろえと出会う。
そして彼女と共に避難先を求めて歩きはじめた。
風が強くなり、すっかり吹雪となってしまった街。
瓦礫を踏みしめながら、司たちは辛うじて体を風雪から守ってくれる建物を見つけた。
それは古ぼけた教会で、司はひとまずその場所で休憩を取ることに決めた。
司と同じ様に地震で家を失った若者達が、やはり同じ様にして、集まってくる。

そうして、雪の降る教会で、彼らは出会った。

得点
85点シナリオ85点
音楽70点90点
システム75点総合85点
プレイ時間20時間泣き度×
え、これCARNIVALの川原誠さん?
というくらい絵の塗りが違うだけで印象が違います。 
 
しかし、今回は前回と比べると人数が相当数増えてるのに対し
まゆげだけでも人によって色々ですし
それだけのそれぞれ個性を出しているっていうのは感嘆します。
 
昔のエロゲーのような絵だと感じます。 
長年やってきてると思える良い味が出てます。
 
あと、背景にも相当な力が入ってます。
外の背景一枚でしっかりした絵になるくらいのレベル。
これの背景だけでも時間どれだけ掛かってるんだろうと
ちょっと考えてみると笑えないです。 
 
この作品の味を充分に出す要。
もう人、武器、背景にしろ全体的に高い質を保ってます。
シナリオ
物語設定はよくあるわけでは無いですが目新しいとも言えません。
でも、シナリオゲームの中では目新しいのかも?
 
この作品は細かくマルチサイトシステムを使用します。
メインの6人はそれぞれが話の大きな柱で、
それぞれの役割が大幅には決まっていて上手い。
マルチサイトシステムで主観点を変えることによって
物事の見方も考え方も別物になってそこでやる方もまた考える。
マルチサイトシステムを使いこなしてるので深い話になっています。
 
会話のテンポが良い具合になってます。
スラスラ読めるのは勿論のこと、
所々に笑いや落ち込みなんかのアクションがあるので良い。
 
物語自体は展開展開を絶妙なタイミングで混ぜ込んでるため
かったるくなるってことは無く飽きません。
 
全体の話の雰囲気はCARNIVALと比べると別物な感じがします。
けれども、やっぱり書いたのはCARNIVALの瀬戸口廉也さんですね。
シナリオの書き方が疲れずにスラスラ読ませようと根本が同じ。
ここは変わらないというのは私の中でもウリだと思ってるので嬉しい限りです。
 
章をPRIMO.SECONDとイタリア語で表記するのは何か意味してるんでしょうか。
オペラなんかを意識しての区分け作りにしたのかなとどうなのかは気になります。
音楽
良いというか凄い。
凄いっていうのはオペラとか楽曲に近いものを作っているからです。
単品で聞けるような曲もありながら、
ゲームだなって感じの曲もある。
そこらへんは少々どっちつかず感は持ってしまいます。

テーマソング「SWANSONG」
 良いなって思える曲です。
これだけ長い曲も珍しい。歌扱いなんですよね。
だけれども・・・一つ言うとすれば火曜サスペンスの曲ですか?と
もう本当に途中の緊迫部分は要らなかったんじゃないかと思います。
レベル高いです。
 
男性陣は初とも言える面々。
これが1作目とか2作目、その割に笑っちゃうくらい上手いんですよね。
鍬形拓馬の桜坂幸平・田能村慎の滝沢アツヤ
この二人は普通に熟練してる落ち着いた感じがします。
滝沢アツヤさんは三木眞一郎に相当似てますね。
尼子司の広末涼って人も役的に感情が出にくいんですがなかなか良い感じです。
 
他は北都南、歌織、西田こむぎ、榎津まお等
北都南さんが中でも相当目立ちますね。
歌織さんも南さんに続いて目立ちます。
榎津まおさんはNoelと比べるとさすがに上手くなってるのが分かりますね。
 
そういえば、田能村のシナリオのセリフのひばりんが
ボイスではひばりちゃんなんつーお茶目な失敗もあって面白いです。
システム
基本的に快適プレイが出来ます。
それは動作的なもので字が読みにくい。
ちゃんと読まないと
 
更にセーブデータも12個X8の珍しい多さ。
サムネイル・時間・シナリオ名。
 
一度選んだ選択肢は灰色になり、
選んだことのない選択肢は白なので非常に分かりやすくて良いです。
不要とも言えますが細やかな配慮は嬉しい。
 
しかし、またもシステムはFlyingShineそのままのシステム
右クリックでSAVE等ではなく、上にカーソル合わせて出るバーからSAVE等を選びます。
FlyingShineでは頻繁にセーブすることになるので嫌になりますが、
これは話にセーブがそんなに必要では無いために気にならないのが大きいです。
総合
リアリティのある漂流教室でしょうか。
 
リアリティというか人間が多いのもあり相当生々しいという感じです。
あとはドラゴンヘッドも同じ系統ですかね。
正直いつもハッピーに楽しくなければ嫌だと言う人はやらない方が良いと思います。
この作品では本当にそれぞれを人間味ある描き方をされています。
どういうことかと言うと人間の良い部分に嫌な部分をそのまま描いています。
大抵のシナリオゲームは嫌な部分の描き方が曖昧というか柔らかくしていたりしますが、
今作品では同じ人間で同じ境遇の中、
いかに話し合うことが難しく理解しあうことが難しいかを描きます。
 
実際良い話だと思います。
それだけ考えさせられることも多く、学ぶことも多いと思います。
全体的なものは相当良い作品だと思います。
しかし、これは上にも書いた通り人間関係の浮き沈みが現実味があって重い。
癒しを求めてプレイする作品ではないのでご注意下さい。

雰囲気としては世界ノ全テに近いです。
話は違うんですが過ごしていく環境がかもし出しているものが近いです。
こういう雰囲気は下手に書かれると悲惨ですが上手く書く分には嬉しいですね。 
 
システムの優秀さも目立ちますね。
キャラが喋るときに流れるようにキャラ絵が出ます。
ここの綺麗な流れがさりげないながら良い演出です。
 
この作品で言えるのはメンバーが相当近いのでCARNIVALと比べてしまいますが、
ムービーが微妙になってます。
相当なウリの一つでもあったムービーが普通なんですよね。
CGとか使ってしまったりしてるんでそこが残念です。

以下反転ネタバレ
しかし、最後のハッピーエンドっつーのは少々安っぽくしてしまってると思います。
最初のエンドがノーマルエンドで少々良いものだったのに、
余りにも上手く行き過ぎてちょっとなんともいえない気分に。
その微妙な感じでで85点なんですよね。
本来ならもっと行きそうには思ったんですけれども。
もう少しこれから辛いけども生きていくんだ的な方がよかったなと思ってしまいました。