---江成さんが一〇〇人を越す花嫁たちと出会って、話に耳を傾けていく過程で見えてきたアメリカって、どんな感じですか?
江成 話を聞きながら、つくづく感じたのはアメリカ人の心の豊かさというか、ふところの深さですよ。敗戦後すぐに生まれた戦争花嫁たちには良家のお嬢さんもいたし、貧しい農家の娘さんもいた。特に初期のころ、誤解を恐れずに言えば、そういう女性たちのなかには、家族やその日の生活の糧を体を売ることでしか得られなかった人もいたはずです。そういう人たちが過去がどうあれ一人の女性として認められ、アメリカ人の妻として、それもなかには玉の輿のような恵まれた境遇でアメリカに迎えられているんですね。
アメリカ人のこうした優しさこそ人間の理想だと思うんだけど、それに比べ太平洋戦争での日本の兵隊たちはどうだったか。東南アジアや中国でも日本兵と現地の女性との出会いはおそらく相当数あったはずです。でも現地人の虐殺の話は聞いても、アメリカの兵士たちのように出会った女性を妻として迎えた話など聞いたことがない。
僕は花嫁たちの仕事のあと中国にとり残された日本人の孤児を取材してるんですが(「シヤオハイの満州」集英社一九八四年)、心の豊かさの点では中国人もアメリカ人と相通じるところがあります。つまり、侵略されてひどい仕打ちを受けた相手国日本の子どもを、どんな事情があれ、何千人も育てているんです。日本人が逆の場に立った時、相手国の孤児を育てられたかといえば、きわめて疑問です。
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