『砂漠の女ディリー』 草思社

帯より

アフリカに住む女性の多くが、無知によって続けられているこの儀式のために、一生痛みに耐えながら暮らしている。お金もなく、ものを言う力もない、(・・・・・・)声なき少女のかわりに、だれが叫んでくれるのだろう。わたしはこうした女性たちのために、自分が声をあげなければと感じるようになった。

著者:ワリス・ディリー

ソマリアの砂漠に遊牧民として生まれる。13歳で砂漠から逃げ出し、ロンドンへ渡り、写真家に見出されモデルになる。《Elle》、《Glamour》、《Vogue》誌などにたびたび登場し、スーパーモデルとして活躍。その華麗な転身は「革命的」とさえ言われた。現在は夫、息子とニューヨークに在住。モデル業とともに、国連の特別大使として女子割礼廃絶に向けた精力的な活動を行っている。
■ 感想
 著者であるワリス・ディリーの自伝である。ラクダの乳より他に、食べるものさえ事欠く砂漠に生まれた彼女が、スーパーモデルにまで登りつめる半生が語られている。危険を冒しながらも、チャンスをものにしていく彼女の生き様は感動的だ。しかし、何と言っても衝撃的なのは、彼女が女子割礼の被害者だということ。5歳で性器を切除された彼女の苦しみが語られている。排尿の困難、月経痛のひどさ。そして結婚している今でも、彼女は性的な快感を得ることが不可能なのだ。
 彼女が勇気を持って告白しなければ、私も女子割礼の何たるかを知ることはなかったかもしれない。この残酷な習慣は、現在も続いているのだ!彼女の一層の活躍と、女子割礼の根絶を願ってやまない。
■ 本文より抜粋
つぎの排尿のときまで、わたしは苦悶のときはもう終わったと思っていた。・・・・・
最初の一滴が出たとき、皮膚が酸に溶かされたような痛みが走った。性器を切り取って縫合したあとには、マッチ棒の直径ほどの小さな穴が二つ開いているだけだった。一つが排尿のための穴、もう一つが月経のための穴である。


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