コラム 第44回  「火星に大規模な砂嵐発生!」
    
しばらくは模様が見えづらい・・・。
       最終更新2001年7月20日    トップページへ戻る  



火星の砂嵐(ダストストーム)の波及 2001.6.21〜7.14
 地球に約2年ぶりに接近した火星が,宵の南の空にオレンジ色の明るい光を放っています。最接近(6月22日)は過ぎたものの,まだまだ望遠鏡で楽しめる大きさなのですが,現在(7月20日),南北の極付近を除いて模様が見えづらい状態になっています。
 実は,大規模な砂嵐が発生しているのです。 6月中旬,火星の南半球の「ヘラス」と呼ばれる盆地に発生した砂嵐が,次第に発達して23日の画像では輝く点(たつまきの上の部分?)として確認できるようになりました。26日の画像では輝点の数が増えるとともに,東側の「ヘスペニア」などでも砂嵐が発生し,模様の見えない地域が拡大していきました。
 7月に入ると,さらに砂嵐の発生する地域が拡大し,4日の画像では「シレーンの海」と呼ばれる地域に輝く点が発生し,砂嵐が西(右)へ波及していきます。 海外の画像では,その直後東側の「ソリス(太陽湖)」周辺でも砂嵐が発生しました。8日の画像では,「タルシス」地域や「オリンポス山」などの高地が黒く見え,低い地域がダストに覆われています。11日以降はほぼ全域に及び砂嵐の影響が出るようになりました。
 手持ちの文献では,砂嵐について「春先に極冠が急速にとけて湿った空気が極地方から流れ出る際,地面からの熱を吸収して猛烈な上昇気流が起こる。この気流で細かい砂が巻き上げられると発生する」と記載されていて,実際に今回の砂嵐は,南半球が春分を迎えた直後に起こりました。
 火星に砂嵐が起こることは珍しいことではありませんが,これほどの大型のものは特に珍しいとのことです
 詳しい画像を捜していたところ,月惑星関西支部の忍穂井氏からアメリカの火星探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー」の赤外線分光計で追跡して撮影した画像[Thermal Emission Spectrometer Project Homepage]を紹介されました。6月15日以降の火星の「ダスト」と「温度」の変化がよく分かります。
 この砂嵐の影響がどのぐらい続くかわかりませんが,観測をできるかぎり状況を見守っていきたいと思います。
なお,最新の火星の画像は月惑星研究会関西支部(最新速報)などで紹介されています。

参考文献:「火星と人類」 島崎達夫著
       新日本出版社
600mm カセグレン式反射望遠鏡(F15)×Or25mm 新潟県立自然科学館
デジタルビデオカメラ SONY DCR-TRV20 (各10フレームコンポジット)

2001年火星最新画像(観測ガイド)
[用語解説]
JST=日本標準時 UT=世界標準時(JST-9h)
Ls=火星から見た太陽の黄経 (0°=火星南半球の秋分,90°=冬至, 180°=春分 240°=夏至)
CM=中央経度  画像は南極が上に来るように補正してある



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