コラム 第43回  「火星の模様が見たい!」
    
〜今年は準大接近+観測ガイド〜
       最終更新2002年2月27日    トップページへ戻る  



最新火星画像
                     2001年12月12日
 前回の撮影から約20日の間,新潟は天候に恵まれませんでした。大気の状態はいま一つでしたが,なんとか極冠や模様が確認できました。「デューカリオン全域(サバ人の海の上の明るいすきま)」 の暗くなっている状態が続いています。画像左端「ヘラス」の北側に雲が発生しているようです。
[火星の砂嵐について]
 手持ちの文献では「春先に極冠が急速にとけて湿った空気が極地方から流れ出る際,地面からの熱を吸収して猛烈な上昇気流が起こる。この気流で砂が巻き上げられると発生する」と記載されていました。今回の黄雲発生は,南半球が春分を迎えた直後に起こっていますが,過去の発生の時期と比べるとかなり早いそうです。

 火星の砂嵐の波及について(コラム)
 Thermal Emission Spectrometer Project Homepage
 最近のダストの様子はこちら(Dust Storm Movies and Images)
600mm カセグレン式反射望遠鏡(F15)×Or25mm 新潟県立自然科学館
デジタルビデオカメラ SONY DCR-TRV20 (各10フレームコンポジット)

2001年火星画像一覧     5月  6月  7月  8月  9月  10月 11月
[用語解説]
JST=日本標準時 UT=世界標準時(JST-9h)
Ls=火星から見た太陽の黄経 (0°=火星南半球の秋分,90°=冬至, 180°=春分 240°=夏至)
CM=中央経度 De=中央緯度 Dia=視直径 P=北極の位置角(画像は南極が上に来るように補正してある)




国内外の火星画像などが見られるページ
月惑星研究会関西支部 (最新速報)
東亜天文学会(OAA)火星課 「火星通信」
西はりま天文台公園のホームページ 「火星共同観測」

The International Mars Watch (2001)
A.L.P.O MARS SECTION Mars Observing Alert
Weileong's Astrophotography Home page
Mars Today
Mars Net
Mars Global Surveyor (NASA JPL)
 Thermal Emission Spectrometer Project Homepage
              (Dust Storm Movies and Images)

mars now 現在の火星の疑似イメージを生成
アストロアーツのホームページ 指定した日時の火星表面の模様が表示できる「火星くるくる」を無料ダウンロードできる




[火星の模様が見たい !]
 午後8時から夜半にかけて南東から南の空に赤く輝く星が見つかります。2年2か月ぶりに地球に接近している火星です。
 最接近時(6月22日)には光度-2.5等と周辺の星に比べて一際明るく目立ちます。望遠鏡で見れば詳しい様子が見られるのではないかと思うのですが,これがなかなか難しいのです。そこで火星の模様を見るためのポイントをいくつか紹介します。
火星の主な模様(地名)上の方が南
シレーンの海 第1ポロポンティス アマゾン カロンの三叉路 ケルベルス ゼピュリア ケルベニア エリュシウム キンメリア人の海 チュレニーの海 エリダニア アウソニア ウートピア ヘラス大陸 ヘビの海 サバ人の湾 子午線の湾 デュカリオン パンドーラ海峡 ノアの大陸 南極冠 第1アルキューレ ボスポロス 太陽の湖 イカリア アオニアの湾 シレーンの海 タルシス地方 アルカディア テムペ アルバ シリア シナイ(マリネス渓谷) エリュツラの海 マルガレットの湾 ナイルの湖 アキダリアの海 ナイルの枝流 クリュセ地方 オリンポス山 大シュルチス 小シュルチス アルキオーネの点 アラビア  *図の上の白い帯は極冠。  下の月日は,南中時の中央経度。
A 子午線の湾  B サバ人の湾  C 大シュルチス  D ヘラス大陸  E チュレニーの海  F ウートピア G キンメリア人の海  H エリュシウム地方  I シレーンの海  J タルシス地方  K 太陽の湖  L エリュツラの海  M アルギューレ  N マーガレット湾  O アキダリアの海 (HST画像などより作図,地名は月刊天文5月号 「特集火星」を参考 にした)
[模様を見るために]
1.望遠鏡を使って
 接近といっても満月の90〜100分の1の大きさにしか見えないので望遠鏡が必要です。

2.高度があるうちに
 日本からでは高い時でも高度が30度以下にしかならないので,高度がある南中前後の1時間ぐらいが見ごろです。

3.見やすい模様のある時期に
 火星の模様の中でも,「大シュルチス」「アキダリアの海」のあたりの模様(経度240度〜60度)は特に濃く,口径の小さい望遠鏡でも見ることができます。
 また,火星を毎日同じ時刻に見ると少しずつ前の経度の模様 (1日あたり約9度)が見えます。これは,火星の自転が24時間37分であるためです。南中の頃に見やすい模様がある時期は5月15日前後,6月20日前後,7月25日前後の10日間ほどです。(当然,慣れれば,これらの日以外でも模様が見えます。)

4.その他注目することは?
  火星を観察する魅力の1つに,季節の変化が見られることが挙げられます。今回の接近は南半球の春から夏の頃にあたり,南極冠の極雲からの出現と縮小の様子を観察することができます。その他,朝霧やサイクロン,黄雲の発生といった気象現象も要チェックです。
南中時の火星の中央経度
月.日 南中時刻 中央経度 大きさ
5. 1 03:02 120度 14.3″
5.10 02:29 29度 15.7″
5.20 01:48 289度 17.4″
6. 1 00:52 167度 19.2″
6.10 00:05 76度 20.2″
6.20 23:06 324度 20.8″
7. 1 22:09 212度 20.5″
7.10 21:26 121度 19.7″
7.20 20:44 21度 18.5″
8. 1 20:01 260度 16.9″
8.10 19:35 170度 15.8″
8.20 19:10 70度 14.6″



経度ごとの火星の模様の見えかた
中央経度と
その時の画像
(南が上)
南中ごろ見られる時期
1時間で約15度進む
(背景の色は空の明るさ)
観察ガイド
参考文献:「月刊天文2001年5月号」
「ナショナルジオグラフィック2001年2月号」

0°のころ
(330°〜30°)
6月15〜20日 23:15ごろ  中央にかにの爪のように見えるのが「子午線の湾(シヌス・メリディアニ)」このあたりが火星の経度0度(本初子午線)にあたる。その西側(右)には「マーガレット湾〜エリュツラの海」が広がっている。北半球(右下)にある「アキダリア海」も起伏のある平原で見つけやすい模様。北極付近の雲も見つけやすい。
7月20〜25日 20:30ごろ
8月25〜31日 19:00ごろ

60°のころ
(30°〜90°)
6月9〜15日 00:00ごろ  中央上側の濃くなっている部分が「太陽の湖(ソリス・ラクス)」その北側の赤道付近には全長4000km,幅650km,深さ6kmにもおよぶ「マリネリス峡谷」が横たわっている。「太陽の湖」周辺と中央下側「アキダリア海」の西(右)側にあたる「テムペ」地方は雲が発生しやすい。
7月13〜20日 21:00ごろ
8月19〜24日 19:20ごろ

120°のころ
(90°〜150°)
6月3〜8日 00:30ごろ  目立つ模様は南(上)の方に広がる「シレーンの海」だけだが,条件の良い時には,ところどころに白い雲を見つけることができる。中央の「タルシス」地方は火星の山岳地帯で,3つの火山が縦に並んでいる。さらに西側には高さ21km,直径560kmの最大の火山「オリュンポス山」周辺の雲が見えることがある。
7月7〜13日 21:30ごろ
8月13〜18日 19:30ごろ

180°のころ
(150°〜210°)
5月27〜6月3日 01:00ごろ  このあたりも南(上)に広がる「キンメリア人」の海だけが濃く見えるが,北(下)の方にもひらがなの「い」のように見える「エリュシウム」地方がうっすらと見える。この付近も山岳地形で雲が発生しやすい。
7月1〜7月5日 22:00ごろ
8月6〜12日 19:45ごろ

240°のころ
(210°〜270°)
6月26〜6月30日 22:15ごろ  「大シュルチス(シュルティス・マイヨル)」とよばる火星でも特に濃い模様が見られる経度。小さな口径の望遠鏡でも見やすい。西(右)端から出てくるころには朝霧に覆われ,白〜青っぽく見えることもあり,その色彩の変化に注目。その北(下)の部分には三角の形をした「ウートピア」地方が広がる。
8月1〜8月5日 20:00ごろ
9月6〜10日 18:45ごろ

300°のころ
(270°〜330°)
6月20〜25日 22:30ごろ  「大シュルチス」の上(南)には,「ヘラス盆地」がある。直径2100km,深さ8kmもあり,40億年前,直径160kmほどの巨大隕石が衝突した跡と考えられている。霧や雲が発生しやすく4月ごろまでは明るく見えていたが,5月以降明るさを落としている。7月末ころからは黄雲の発生するシーズンに入る。「サバ人の湾〜子午線の湾」へと西に続いている模様も見やすい。
7月25〜31日 20:30ごろ 
9月1〜5日 19:00ごろ


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