石垣空港から与那国へ向かう飛行機は満席でした。飛行機は多くの客を乗せて日本最西端の地へ向かいます。
いよいよ、その地へ降り立ちました。
「さ、さぶっ!!寒い〜。」
猛烈な寒風が吹きすさびます。
それでもめげずにレンタカーに乗ります。レンタカーのお兄さん曰く
「ヨナグニシュウダはまだちょっと早いよお。」
畜生。負けてたまるか。ここまで来て手ぶらで帰れるか、って。ガキの使いじゃないんだから...
早速、田島商店へ寄ってkotoeさんにご挨拶。おお、きれいな方じゃないか。食料も買い込み、いざ出発。
それでも、とりあえず最西端の碑を見物。記念写真を一枚撮影。早くもトイレでハーピング。ホオグロヤモリ見ーっけ。マダラの尻尾見ーっけ。
有名なカレー屋で腹ごしらえをして、山に入ります。
とにかく林道に入ります。雰囲気は抜群。と、言うよりも島中ポイントだらけです。
ただし、寒い。しかし、この寒空の中にもサキシマスベトカゲは姿を見せてくれました。ちょっと、宮古の個体とは模様が違うように感じられます。
林道では夜に探索をすることとして、もう少し島内を巡回します。
私は趣味とは別に水生昆虫を少し調べているのでめったに来れない与那国島で水生昆虫をサンプリングしたいと思っていましたので少ない川で網を入れてみました。エビ、カニ、貝、魚と一緒にあまり見かけないトビケラの幼虫が入りました。帰ってから検索するのが楽しみです。
道路ではサキシママダラが轢かれていました。それでも、ヘビの活動する温度にはなっていることが確認でき希望を持ちます。
ようやく夜になりました。
歩きます。ひたすら懐中電灯を持って小雨がふり、寒風が吹く中、歩きます。
林道だけでなくめぼしいところをひたすら歩きます。ヨナグニシュウダとの出会いを夢見て...
ミナミヤモリとも出会いました。
待望のサキシママダラのオスとも出会いました。
ミナミイシガメも歓迎してくれました。
異常とも思える大きさのヌマガエルにも会えました。
しかし、会えません。ヨナグニシュウダに...
空振り
いやな言葉が脳裏をよぎる度に振り払います。
翌朝を待つことにしました。朝日をいっぱいに浴びるために出てくるシュウダに一縷の期待をして。
朝になりました。
無念
天は私たちに味方をしてくれませんでした。今にも泣き出しそうな空の色です。最西端の地で鉛色の空しか見ることができない悔しさ...
私たちの負けです。
敗者は去るのみ。
田島商店のkotoeさんに報告をして、私たちは与那国に別れを告げました。
また、来ることを胸に誓って...
しかし、与那国は良いところでした。島中がフィールドです。観光客も多いのですが自然環境も良好に保たれています。必ずや再び訪れることを決意できる魅力を持った島でした。
全く見ず知らずの馬鹿者達に非常に親切にして下さったkotoeさんにこの場を借りて深くお礼申し上げます。
与那国から石垣に戻った私たちは懲りずに石垣でのフィールディングを開始しました。
しかし、またしても天候に恵まれません。
私はサキシマカナヘビを探したのですが残念ながらもはや私の前に姿を現しませんでした。
宿に帰って夜を待つことにしました。昨夜の与那国での疲れがかなりたまっています。
夕方になり目を覚ますともはや気も失せるほどの悪天候。もはやこれまでか、とも思ったのですがめったに来ることができない石垣を最後まで満喫するために残った体力を振り絞ってフィールドに向かいます。
雨も強くなり台風かとも思われるような降りに辟易しました。
しかし、こんな時こそカエルとの出会いにもってこいです。必要なだけのカエルを採集するためのフィールドに向かいました。
大雨が降る中、ふと
「渓流に住むカエルを見たい」と思い足場の良い沢に降りました。そして、そこで出会ったのです...
サキシマバイカダに...
まさに目を疑う一瞬でした。昨夜からの鬱憤をすべて振り払う出会いでした。
発見者は寺田さん。またもや手を震わせて、まさに「ヘビ中毒者」。咬まれてもなんのその。限りなく慎重に捕獲・収容に至りました。
このバイカダとの出会いで今回のフィールディングを締めくくったのです。何とも贅沢な締めくくり方でしょう。
最後の夜は宿でオリオンビールに加えて泡盛で祝杯です。
明日になれば、またいつ会えるともしれない別れになるでしょう。目一杯の爬虫類談義に花を咲かせて眠りについたのです。
最後の日の朝を迎えました。
飛行機までは相当な時間がありますので、天気さえ良ければ...と、思ったのですが、やはり、曇り、加えて寒い。思いっきり天気からは見放されました。
仕方なく、観光地巡りをしました。とにかくフィールディングポイントだらけです。
私の頭の中は
「今度はいつ来ようかな。」で。いっぱいになってました。
沖縄空港で寺田さんと再会を誓い合って、4日間の楽しい旅を終わらせました。
この場をお借りして、寺田さんに心からのお礼を申し上げます。
昨年3月のヤンバルから一年。重度の沖縄病にかかったと自覚をしていましたが、もはや病気は通り過ぎました。
沖縄は私にとって生きていくための「空気」であり「水」であります。今回の八重山はそれを確信させました。
八重山の風景や生き物は感動を与えてくれたのではなく、なぜか私に「安心感」を与えてくれました。彼らとの出会いは私にとって「特別な」ことではなく「当然の」ことになってしまったようです。
以上、もはや常軌を逸した「超重度沖縄病」罹患患者の言葉でした。
というわけで、今回のフィールディングの点数は75点です。
減点分は
おわり