「 出るか!? しし座流星群!」

                 1998年10月19日 書き下ろし 2001年10月26日更新 
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しし座流星群イメージ図


 しし座流星群に関する問い合わせが,科学館に多く寄せられるようになりました。

Q「11月18〜19日に流れ星がたくさん見られるって聞いたんですけど,何時ごろ見られるんですか?」
A「しし座流星群のことですね。それでしたら,11月17日の夜半から18日の早朝,18日の夜半から19日の早朝に見られる可能性が高いと言われています。」
Q「19日の夜ではないんですか。」
A「ええ。19日の午前2時30分ごろというものや午前3時19分ごろといった予報がでていますが,少なくとも17日の夜半以降から19日の早朝までは,夜空から目が離せないですね。」

Q「どちらの方向を見ればいいんでしょうか?」
A「流れ星が出てくるように見える場所を「輻射(ふくしゃ)点」,または,「放射(ほうしゃ)点」というのですが,それがちょうどしし座にあります。しし座は,この時期,午前0時頃東の空からのぼり,夜明けごろには南東の空50°ほどの高さにあります。ただし, 流れ星の流れ始める場所は, しし座ばかりとは限らないので,特にどちらを向けばいいということは,ないと思います。」
Q「どうしてたくさんの流れ星が見られるんですか?」
A「現在,流星群のもととなるちりは,彗星がばらまいていったものであると考えられています。彗星は汚れた雪だるまのようなもろい天体なので,太陽に近づくとそれがとけて大量のちりをまき散らします。
 それが幾度となく繰り返されるうちに,ちりは彗星の軌道に沿って広がって行きます。そのちりの群れと地球の軌道がごく接近した時に,多くの流れ星が見られると考えられています。」

Q「今年のしし座流星群はたくさん見られるということですが?」
A「しし座流星群は,母彗星であるテンペル・タットル彗星が前回接近した1966年の時には北アメリカで,短時間に数万個の流れ星が見られたという記録が残っています。また,1998年,1999年にはヨーロッパ方面で1時間あたり数千個の流れ星が見られました。1998年の2月に彗星が地球に接近してから,すでに3年以上たっていますが,今年は,過去地球の近くを通過した際に放出されたちりの集まっている部分(ダストチューブ)がちょうどアジア地域で条件良く接近するのではないかと予測されています。」

Q「どのぐらいの流れ星が見られるのですか?」
A「ちりの集まり方の詳しいことがわかっていないので,こればっかりはなんとも言えません。1時間あたり20個前後というものから1時間あたり1万〜3万5000個流れる可能性があるという予報もあります。(これだと1秒に1個以上流れる割合になりますが,この状態が長い時間続けて見られるわけではありません。)少なくとも全く見られないということはないと思います。」

Q「市街地でも見られますか?」
A「しし座流星群の流れ星は,比較的明るいものが多いので,市街地でも見られると思います。ただ,町明かりのあるところでは,見られる数はずっと少なくなってしまうでしょうね。できるだけ,空の暗い場所へ出かけることをおすすめします。」

Q「17〜19日以外の日は見られますか?」
A「残念ながら,流星群ごとに多く見られる時期は限られます。しし座流星群の場合は,その日以外はせいぜい1時間あたり数個程度しか見られないのではないかと思われます。また,来年は月明かりがあり,条件はよくありません。」

Q「その他,何か気をつけたほうがいいことは?」
A「防寒対策をしっかりしましょう。それから,流れ星は,望遠鏡や双眼鏡などの特別な機器を必要としなくても見ることができる数少ない天文現象ですので,見逃さないようにしたいですね。それでは,当日の晴天を祈って!」

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関連サイトのページ

アストロアーツ    日本流星研究会

国立天文台広報普及室


〔しし座流星群,観測の歴史〕
902年10月13日 中東バクダット,シシリー島,北アフリカで流星雨を目撃
931年10月15日 中国「旧五代史・天文史」で,「中天及四方有小流星百余,流注交横」の記述
934年10月14日 中国 上記の書物で「衆星乱流,不可勝数」の記述
967年10月14日 日本 「日本略記」で最初の記録。「同亥時流星如月,自良瓦坤,衆星西乱れ,終夜流散」の記述
*日本には, 1002年,1035年, 1037年,1237年, 1238年 ,1466年のものも記録されている。
このうち,1237年,1238年10月18日のものは「吾妻鏡」に記載
1533年10月 日本 「足利李世記」で「十月八日の暁に,満天諸星悉く動揺してひらめき流て,
海陸へ石の如砕け落散ける,其聾尤をひたたし,古今未曾有有の天変なり,(中略),
国も滅ぼすへき先ひょうかと,諸人驚き嘆きける」の記載(原文カタカナ)
1566年 激しい流星雨が3日にわたって中国, 韓国で目撃
1601年, 1602年, 1666年, 1698年, 1766年流星嵐目撃
1799年 11月 ドイツの探検家フンボルトが南米ベネズエラで流星雨を目撃
1833年 11月13日
早朝
アメリカ大陸を中心とした広い地域で雨のような流れ星が目撃
「世界の終わりだ」と地にひれ伏し,祈る人もあったらしい
1832年,1831年の同時期にもたくさんの流れ星が目撃
エール大学教授 デニスン・オルムステッド他
流星雨は,太陽を楕円軌道でめぐっている「星雲状天体」が地球軌道に接近するためという説を唱える
エール大学 ハバード・ニュートン 流星雨の周期を33.25年と推測
1865年12月 しし座流星群の母彗星「テンペル・タットル彗星」発見
しし座流星群の軌道に近いため注目される
1866年 ヨーロッパ,北アメリカで流星雨を目撃・彗星と流星群の関係確立
1899年 中国で流星雨の記録,ただし,全体としては低調
1929〜30年 全体として低調(1時間当たり100程度)
1965年 日本で1時間当たり80程度の出現(レーダーによる流星観測により通常の3倍近いエコーを記録)
1966年11月17日 アメリカ大陸上空,大流星雨午前2時30分〜6時頃までの間に数十万個の流れ星
(ピーク時,1時間あたり15万)「地球がしし座の方向に向かって動いていくような錯覚」
日本では条件が悪く,1965年以下の出現
1997年11月17日 日本で1時間当たり15〜30の出現(満月下の悪条件)
1998年2月28日 テンペル・タットル彗星近日点通過
1998年11月17〜18日 ヨーロッパでたくさんの火球が見られる。(ZHR=357) 中国(ZHR=136)
日本では(ZHR=60前後)
1999年11月18〜19日 ヨーロッパからアフリカにかけて1時間あたり5000個の「流星雨」が見られる。
日本(東アジア方面)でも翌日(ZHR=180)程度の出現
2000年11月17〜18日 ヨーロッパ,アメリカでそれぞれ(ZHR=290 ZHR=480)の出現。日本では(ZHR=30前後)
出現時刻はアッシャー氏のモデルの予報とよく一致していた。

*ZHR(Zenithal Hourly Rate)はもっとも理想的な条件で1人の人間が天頂を眺めたとき,1時間に観察されるであろう流星数
実際に見られる数は1/2〜1/3程度になる。

参考文献: 「しし座流星雨がやってくる」 渡部潤一著 誠文堂新光社
       「SKY WATCHER 」1998年11月号 立風書房
       「しし座流星群を追え!」(別冊婦人画報) 世界文化社 他