コラム 第9回 「国旗のデザインに登場する天体」

                     (1998年2月 祝 長野オリンピック開催記念 書き下ろし)
                         トップページへ戻る

 世界の72の国々が集まり長野冬季オリンピックが開催されています。競技会場にはそれぞれの国の旗がはためいています。
 ところで,国旗のデザインには太陽,月,星などの天体が使われているものが多くあります。その数は,約190の国々のうち,およそ40%にのぼります。
 では,太陽,月,星のうちどれが一番多く使われているでしょうか?
 1位は圧倒的に星です。星のみのもので50カ国近く,太陽や月と組み合わせたものを含めると60カ国になります。星はその国の州,民族などの数を示したり,理想や主義などの象徴に使われたりしているのですが星座を取り入れている国旗もあります。
 その星座は,オーストラリア,ニュージーランドなど南半球の国でとり上げられている「南十字座」です。
 おもしろいのはブラジルの国旗で,南十字座付近の実際の星空が描写されています。しかし,旗に描かれた星の配置と南天の星図を照らし合わせてみても,どうも合いません。調べてみると,天球儀(地球儀のように星座を球にえがいたもの)を外側から見て描いたため,左右が逆になっているのでした。
 2位は「日の丸」のデザインにもなる太陽の15カ国。星との組み合わせが2カ国,月との組み合わせが1カ国ありました。太陽は,繁栄,躍進の象徴として使われています。
 3位は月ですが,単独で使われているのは1カ国で星との組み合わせが12カ国もあります。この組み合わせはイスラム教の象徴とされています。国旗に使われている月のデザインはすべてが,三日月でした。さまざまな月の形の中で,三日月が一番月のイメージを端的に表しているからでしょう。
 中でもモーリタニアの国旗の三日月は,水面に船のように浮かぶ姿をデザイン化しています。実際モーリタニアは赤道付近にある国なので,夕方の西の空か明け方の東の空に,このような三日月を見ることができます。
 月に関しては,手前に星があるようなものから,光っている部分が多すぎるものなど,実際には見ることができないようなデザインも多くあります。もっとも国旗は国家を象徴するものですから,デザインが実際の科学事象より優先されるのは当然のことでしょう。
 今度,世界各国の国旗を見る機会があったら,どんな国にこれらの天体が使われるか探してみるのもおもしろでしょう。
参考文献 : 上西一郎著 「理科年表を楽しむ本」 丸善株式会社
       吹浦忠正著 「国旗総覧」 古今書院  
       国際理解教育体系編集委員会編 「ビジュアル 世界の国旗」 教育出版センター

トップページへ戻る      これまでのコラムへ