赤い光を放つ火星は,その色から,ギリシア神話の戦いの神「マルス(またはアレス)」の名で呼ばれてきました。この色は,火星の地表の色(岩石に含まれる酸化鉄)のためであることがわかっています。 一方,さそり座の心臓に赤く輝く一等星がアンタレスです。その赤さの理由は,この星の表面温度の低さ(太陽の半分以下(約3000度))によるものです。しかし,その大きさは太陽の230倍で,仮に太陽のかわりに置いたとすると,火星の軌道あたりにまで達するほどです。 アンタレスの語源はアンチ・アレス つまり「火星(アレス)に対抗するもの」です。実際にアンタレスは,惑星の通り道の近くにあり,昔から,両者が近づいて輝く様子は,人々の関心を引いていました。今年は,9月中旬に火星がすぐそばにやってきて,その赤さを競い合うことになります。 ![]() |
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てんびん座 ![]() おとめ座とさそり座の中間あたりに,「く」の字を裏返しにしたような星の並びが見つかります。このあたりが「てんびん座」です。 この天秤は,正義の女神アストレアが人間の善悪を判定するために,その左手にたずさえているものとして伝えられています。 てんびん座ができたのは紀元前46年以降のことで, それまでは,さそり座とおとめ座の一部でした。そのなごりとして,この星座のα星,β星にはそれぞれ「ズベン・エルゲニブ」(南のつめ),「ズベン・エルシェマリ」(北のつめ)という,てんびんとはかけはなれた名前がつけられています。実際,さそり座との位置関係からすると,さそりのつめにあたる星としたほうが,しっくりくるように思います。 現在,てんびん座とおとめ座の付近には地球と接近している火星が明るく輝いており,普段はなかなか目のいかないこの星座も,見つは出す良い機会となっています。 |
| 参考文献: 藤本 正樹,永田 美絵 著「四季の星座ガイド」(新星出版社) 藤井 旭 著「星座ガイドブック 春夏編」(誠文堂新光社) 写真データ ★ 1999年3月24日 01:36〜44 35mm F2.8 (コダックASA400ネガフィルム) 新潟県五泉市大蔵にて撮影 |
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