5.繁殖と幼体の飼育

  1. 交尾

    通常、冬眠明けして餌を食べ始めると、すぐに繁殖行動に入るようです。脱皮してからが多いですが、脱皮前でも交尾行動が見られます。

     

    1. オスが尾の先をふるわせたり、くねらせたりしてメスに近づき、メスの首をなめたり、腰のあたりのにおいをかいだりする行動をとる。  
    2. メスは最初は逃げる。  
    3. オスがメスの腰をなめて体を平行に寄せ、腰や首にかみつく。  
    4. メスが暴れても、横腹をかみながらからみつき、後脚でしめつけるように体を固定して交尾に入る。

    これは普通のオス主導の交尾ですが、メスが自分からオスを追い回して体をすりつけるような行動をとり、交尾を迫る?場合もあります。
    交尾は何回も行われます。長いときで数時間交尾しているときもあれば、合意に達しないときは数分で離れる場合もあります。
     交尾が確実に行われたことを確認したら、オスメスは分けて飼育した方がいいと思います。複数のオスがいる場合は、メスが疲れてしまうことがよくあります。

    高齢(3才以上)の場合や、複数回産卵したあとは、かならずオスメス分けましょう。
    栄養状態がよく、若いメスは、オスがいなくても無精卵を産むことがありますが、オスを分ければ、1〜2回しか産みません。高齢であれば、無精卵も産まないことが多く、メスの疲労を防ぐことができます。
    オスの発情期は長く、7月頃まではメスの産卵後はただちに次の交尾を迫ります。腹や首を強く噛まれ、複数のオスが1匹のメスに同時に交尾を迫ったりするので、衰弱したり高齢のメスは死んでしまうこともあります。

  2. 産卵と卵の管理

    妊娠期間は40〜50日程度です。餌を食べなくなり、水を飲んでいるようになって1日か2日後、日中でもシェルターに隠れていたら、産卵のために隠れているのだと思われるので、ケージを動かしたり、むやみにのぞき込んだりしないでください。どうしているか気にして、シェルターをどかすのは論外です。個体によって、シェルターに隠れる直前まで餌を食べる場合もあります。

    朝か夕方に姿を見せたとき、ふくらんでいた下腹がすっきりしていたら産卵が行われた証拠です。カナヘビを一旦、別の入れ物に移し、ケージ内の卵を探します。

    卵はシェルターの中や、石の下などの湿った土の中に、半分埋まった状態で見つかるはずです。上下を変えないように(中の赤ちゃんが窒息するからと言われます)まず、印をつけて、そっととりあげて別の容器に移します。
     卵は、小さなプラカップや、タッパーに湿った水苔あるいは湿った土を入れ、少しくぼませて卵を安置します。直射日光が当たらない場所に置き、フタをして、周りの床材が乾燥しないように湿度を保ちます。
     ※アリが入らないように注意します。

  3. 孵化

    適度な湿度を保っていれば卵は少しずつ大きくなります。大体、最初の2倍くらいになります。35〜45日程度で、孵化します。
     卵が少し色が変わってきます。
     表面に亀裂が入り泡が出ます。
     赤ちゃんの鼻先がのぞきます。この状態から数時間かけてカナヘビの赤ちゃんが卵から外へ出てきます。
     頭など一部が出ていても、赤ちゃん自体に体力がないと、そのまま卵から出られずに死んでしまうことがあります。
     卵から出かけた状態で衰弱していくのを見かねて、孵化の手助けに卵を破ったことがありますが、赤ちゃんは間もなく死んでしまいました。やはり、最初の試練ということで、赤ちゃんの体力に任せる方がいいような気がします。

    ふくらんだ卵が、孵化せずにしぼんでいくこともあります。特に、高齢のカナヘビが産んだ卵や、同じシーズンで何回目かの産卵の場合によく見られます。これは、卵の中で、あと一息の体力がなくて出られないままに死んでしまうので、割ってみると、赤ちゃんが丸まって入っていますが、生き返ることはないようです。

    孵化を待っている間に、卵がかびてきたら、卵が死んだのですから、とりのけましょう。

    床材の湿度は霧吹きで、保ちますが、卵に直接霧をかけないように注意しましょう。

  4. 幼体(赤ちゃん)の飼育

    1. ケージ
      幼体は、生まれて歩き出したらもう独立して生きることができます。親の世話は必ありませんので、親から離して、ベビーだけで飼育しても構いません。日光浴の時などに親に踏まれる事故が心配でしたら、別に飼育した方がいいでしょう。
      カナヘビは一族で割と集まって住んでいますので、広いケージで一緒に飼うことも可能です。成体と幼体を一緒に飼う場合でも、孵化後1〜2週間は、幼体は別に飼育します。
      生まれたての弱々しさがなくなり、すべすべして軟らかそうだった皮膚が、成体と同じようにガサガサしたウロコの感じが出て、盛んに餌をとるようになったら、成体と一緒にしても大丈夫です。
      ※カナヘビの成体が、幼体を間違って食べるようなことはありません。
      幼体は、圧力に弱いので、うっかり木の枝などで押しつぶしたりしないように十分注意します。

      ※幼体のケージは、あまり立体的にせず、木の枝等は少な目に。針金などで固定して落ちたり倒れたりしないようにしましょう。シェルターも、石や煉瓦は事故のもとなので避けます。
      日光浴は強い日差しを避け、目を離さないこと。生まれたては皮膚も弱いので、あまり日光浴をしません。短い時間でシェルターに隠れますが、ケージの中全体が高温になっていたり、蒸れたりすると、幼体はすぐに死んでしまいます。
      水入れは深いものは避けること。おぼれる危険があります。

    2. 小さな虫を与えます。ブドウムシなどの芋虫をつぶして体液をピンセット先につけ、目の前に出してやると食いつきます。
      この時期の食べ物としては
      • ・コオロギの1〜2ミリの幼虫
      • ダンゴムシの幼虫‥‥母虫が腹に抱いています。軟らかい筆などで払いおとします。
      • カ‥‥叩いたらピンセットでつまんで直接与えます
      • コバエ‥‥同様です。
      • アブラムシ
      • クモの子
      • 尺取り虫などの小さな青虫
       があります。

      そのほかに、堆積した落ち葉を湿った土ごと入れておくと、驚くほど微少な虫がいますので時々入れ替えますが、湿度が高くなるので。この場合は立体的なレイアウトにして、湿度から逃れられるようにするといいでしょう。
      また、ブドウムシのような芋虫はちぎって中身を少しピンセットの先にとってなめさせます。

      注意したいのは、青虫の小さいものや、芋虫の中身などは、のどにつまりやすく、つまるとすぐにカナヘビが死んでしまうのでわずずつ与えるようにします。

戻る 「はじめに」へ戻る 次へ