田んぼの友達・ヒバカリ
撮影:KERO

和名:ヒバカリ(ホンドヒバカリ)


学名:Amphiesma vibakari vibakari

分布
本州、四国、九州、佐渡島、隠岐、壱岐、五島列島、下甑島
生態
底山地から山地の森林に生息し、水辺や多湿な環境を好むため山地から続く田園地帯に多く見られます。昼行性で特に早朝や夕方に行動しカエル、オタマジャクシ、小魚、ミミズなどを食べています。
5〜6月に交尾をし7〜8月に4〜10個の卵を産みます。34〜37日で孵化し10cmほどの大変小さい幼蛇が生まれてきます。
全長
40〜60cm
参考文献
日本動物大百科5両生類・爬虫類・硬骨魚類:平凡社

解説
淡褐色から暗茶褐色で首の回りに白いエリのような斑紋があるのが特徴です。腹の側面に小斑点が並びます。ただし、写真の個体のように小斑点がない個体(撮影:ばいかだ)もいます。
ヒバカリA.vibakari の基亜種で日本の固有種です。カエルなどの餌が豊富でないと生きていけないため開発が進み環境が悪化すると見られなくなります。
飼育(07/20更新)
以下、ヒバカリの飼育経験が豊富で長期飼育および繁殖までも手がけたKEROさんの飼育法です。スペースの問題もあり、やや要約しました。
薄暗く湿っぽい環境を好み、温度は22〜25度くらい。紫外線は不要です。ケージは60㎝プラケース。 周りを覆って落ち着かせます。通気のため、サイドに空気穴を開けます
ケースの底にぬらした水苔を5センチほど敷き詰め、大きなタッパーの水入れを置き、落ち葉混じりの土を同じ高さまで入れます。
木箱のシェルター、太い木の枝、竹を組んだ棚を作って設置しました。土は常に湿らせます。
糞はまめに取り除き、土も時々取り替えます。土をいれずに新聞紙を敷く方が清潔ですが、土を入れた観葉植物の鉢などを入れてやると良いようです。
餌は、カエル、オタマジャクシ、ドジョウ、ミミズ。小魚は食べませんでした。ミミズはなるべく雑木林の落ち葉を掘って探します。畑のミミズは農薬の影響がある可能性があります。 ドジョウは魚屋で養殖物が手に入りますが、脂肪過多になるので天然ドジョウを混ぜるといいでしょう。タッパーにドジョウやオタマジャクシを泳がせておくと自分で採って食べます。 間隔は2日〜3日おきにドジョウ1匹か、オタマジャクシを3〜4匹くらい。タッパーの水は毎日換えます。
以下に、ヒバカリの成長段階ごとの給餌と簡単な飼育のポイントを表にまとめておきました。
 
成体冬眠明けミミズ主体
6月ドジョウを1日おきに2匹
オタマジャクシは例外で、日に30匹から50匹食べる場合もあるので、なるべく多めに食べさせる。(オタマジャクシの時期のみ)
ヒキガエルのオタマジャクシについては数を増やし、アマガエルのオタマジャクシは大きいので、10〜20匹
2〜3日おきにドジョウ1〜2匹。水と床材の清潔を心がける
涼しくなってきたらドジョウ、メダカなどを1日おきに2匹
数は目安で、基本は食べるだけ与えること。
エサは水入れに放すので、水の汚れを丁寧にチェックして水替えすること。
便を観察して、未消化の状態になったら、給餌を中断すること
夜エサを入れて、次の朝に残っていたら、一度エサを引き上げて、その日の夜か次の日の夜にもう一度いれてみる。
幼体(体色が黒っぽい)冬眠明けミミズ主体なるべく多めに床材に入れておく。
ヒキガエルのオタマジャクシ毎日、20匹程度与えてみて短時間に残さず食べるようなら追加し、食べ残すようなら、朝から日中はいったん水から食べ残したオタマジャクシを引き上げて夜にもう一度入れる。
幼体についてはオタマジャクシを主体に考える。
成体と同じく、水の汚れには注意する。
成体と同じく、基本は食べるだけ与えることですが、便に未消化のエサが出るようになったらすぐに給餌を中断すること。
生まれたばかりの幼蛇主食ミミズ小さなフトミミズを、梅雨の頃にたくさん集めて飼育しておきましょう。
副食ヒキガエルヒキガエルの上陸したての小さなカエルをエサ用にたくさん確保しておくかオタマのうちに冷凍しておきましょう。
2年目以降の亜成体、成体に比べ早くに冬眠するので注意。
その他のポイント成体メスの場合は、よく食べる方が繁殖しやすいです。
また、幼体も成長は初夏にどれだけ栄養をとれるかにかかっているように思いますので、たくさん食べさせましょう。
満腹したら、無理には食べようとしません。
しょっちゅう体を伸ばしているときは、満腹感が続いてるときです。その場合は一旦給餌を中断します

6月頃、交尾をし餌をよく食べるようになります。7月頃、湿っぽい暗いところに産卵します。 産卵直後は卵を守ります。孵化した幼ヘビのために、遅く産まれるオタマジャクシを確保しておくとよいでしょう。 妊娠中および産卵後はカルシウムをたくさん与えます。産卵後は体長を崩しやすいので、特に注意します。
11月下旬から、食欲がなくなりますので、土と落ち葉を増やし、夕方でももぐって出てこなくなったら、水入れをとって土・落ち葉を全体に入れ、ケージを覆って暗くし外で冬眠させます。
いろいろな環境を作って、一番ヒバカリが気に入った環境で飼うようにしましょう。小さいので、体調を崩すと持ち直すことは難しいです。

コメント
とてもおとなしく人にも慣れるため餌の確保さえできればとても良い友達に慣れそうな気がします。ただし、全国的に湿地が減少してきているので将来にとても不安を感じます。こんなかわいいヘビがいなくなってしまわないような日本でありますように。
本当に、日本を代表する良いヘビなんですけどね...飼育が難しいです。少なくとも私にとっては。だから最初から飼育はあきらめています(苦笑)。たぶん、私の最終目標のヘビなんでしょう。
んなこたぁ、お構いなしのすっとこどっこいが、毎年早春になると冬眠中のヒバカリを掘り起こして大量にオークションやらに出しているのを見かけます。そんなのは育つわけがないです。購入するのはやめましょう。野生採集乞食に小遣いを恵んでやる必要なんてこれっぽっちもありませんから。そんなことやっているヒマがあるんだったら、飼育下で繁殖させてから売れ、と。
写真を提供してくださったKEROさん、「ばいかだ」さんに心から感謝しお礼申し上げます。KEROさんと「ばいかだ」さんにメールを送りたい方は私、星野まで。 ※スパム対策のためメールアドレスの「@」の部分を「☆」に変えています。恐れ入りますが、メール作成画面起動後「宛先」欄の「ihoshi☆mb.infoweb.ne.jp」の中の「☆」を「@」に書き換えて下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。



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