チョコレート色の臭いやつ・サキシママダラ
西表産
与那国産
宮古産 上すべて撮影:星野一三雄
石垣産 撮影:寺田考紀
幼蛇写真

和名:サキシママダラ


学名:Dinodon rufozomatum walli

分布
宮古諸島と八重山諸島
生態
森林や草地、耕地、人家付近に生息しています。特に雨上がりには良く道路などに出てきています。夜行性でヘビ、トカゲ、カエルなどを餌にしています。仲御神島では海鳥のひなや卵まで食べて大型化するそうです。
4月に交尾をして6〜7月に産卵をした報告があります。
全長
50〜100cm、仲御神島では130cmに達しています。
参考文献
日本動物大百科5両生類・爬虫類・硬骨魚類:平凡社

解説
アカマダラD.rufozonatusの亜種です。アカマダラが赤地に黒色横帯であるのに対して本種は黄褐色地に黒色横帯です。ただし、宮古産は黒色横帯の幅が広くその数も少ないのが特徴です。また与那国島の個体群は、地色の黄色みが少なく灰褐色に近い感じで、黒色の横帯が細く数も多いのが特徴です。
飼育
現在、2頭の宮古島産を飼育しています。70cmの衣装ケースを改造してケージを作りました。ただし、ここまで広くなくても良いようです。床材としてピートモスとバーミキュライトを敷きました。一応、生息地をイメージしてみました。水をかなり飲むので水容器は必須です。あまり倒しません。
餌はピンクマウスを与えていますが1回に2匹くらいは与えた方が良さそうです。非常にはじめは臆病でずっと、丸まっていましたが比較的すんなりと餌付きました。特にピンセットで目の前に持っていくと多少刺激を与えた後でも食いついてきます。ただ、あまり大きな餌を飲み込むのは得意ではないようなので小さめの餌を多めに与えた方がよいでしょう。
湿度が低いと脱皮不全を起こすようなので湿度は高めがよいように思えます。18℃くらいでも餌を食いましたが消化のためにはもう少し高い温度で飼育した方がよいでしょう。
生息地では木にも登っていましたので多少立体活動をできるようにした方がいいかもしれません。

と、書いたのが今は昔の1998年くらいのお話。
で、それから10年後の2008年現在、西表島産と与那国島産の個体を飼育していますが、ようやく念願の繁殖までこぎ着けました〜!

そのくせに、まともに記録をとっていなくて恥ずかしい限りなんですけども。
通常は無加温で雌雄を別々に飼育。冬は室温で越冬。たぶん10〜18℃くらいで推移。12月くらいから2月一杯くらいまで無給餌。で、3月一杯は餌を食わせまくります。
4月に入ってから、二週間に一回くらいの割合で雌雄を同居。でも、だいたい一発で交尾をします。

2008年の場合は5月終わりに交尾、6月30日に脱皮、7月13日に5個を産卵。卵の大きさは3cmくらい。

サキシママダラの繁殖はココにポイントありです。実はアカマタの繁殖が難しい理由に、産卵後にメスが卵を食べてしまう、という話を聞いたことがあり、もしかしたら悪食で知られるサキシママダラも、その可能性があるのでは、と考えていたのですが、今回の繁殖でその決定的瞬間に出くわしました。まさに産卵後にメスが卵を食べてしまっていたのです。
5卵のうちの一つを半ば飲み込んでいる現場でしたので、それを引き離そうとしたのですが、結局くっついているしまっていたので、1つは食べられてしまい、もう一つは引き離そうとしているときに破損してしまい、無事に回収できたのは3卵だけでした。

卵は、その後、無加温の室温で72日後に孵化しました。孵化した幼体は小さく全長20cm程度です。

コメント
とても良いヘビです。本土のヘビほど地味でなく、飼育しやすく餌食いも良いですし、それほど希少な種でもないので「何か変わった蛇を飼ってみたいなあ」と言う方には向いているかもしれません。と、でもこんなことを書いて乱獲されたら困るので飼育している方は必ず繁殖までを考えて繁殖個体のみを流通させるよう努力していきたいものです。
顔つきも本土にはない顔つきでちょっと、ニシキヘビを思わせます。後は臭いを出さなければ良いんですけど。洗ってもなかなか臭いは落ちません。

繰り返すようですがこんなヘビの飼育繁殖法の確立を目指していきたいものです。
そして、ようやく、私はその一歩を踏み出せたような気がします。

コイツらが、自分の卵を食べてしまうことに、もっと早く気づいていれば、もっと早くに、この一歩が踏み出せたモノを...

写真を提供してくださった寺田 考紀さんに心から感謝しお礼申し上げます。寺田さんにメールを送りたい方は私、星野まで。 ※スパム対策のためメールアドレスの「@」の部分を「☆」に変えています。恐れ入りますが、メール作成画面起動後「宛先」欄の「ihoshi☆mb.infoweb.ne.jp」の中の「☆」を「@」に書き換えて下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。


アカマダラのページへ
シロマダラのページへ
日本の蛇(ヘビ)のページへ
INDEXページにもどる