1998年9月に宮古島へフィールディングに行ってそれなりに結果を残せた、はずでした。
しかしながらその後多くの方から、そのときに見ることができなかった生き物たちの情報を耳にする度に
「もう一度宮古島へ行かなければ...」
と、誰から言われたわけでもないのに決意を、私はしてしまったわけです。
と、言うわけでまさに今回のフィールディングは
「ミレニアムフィールディング宮古島リベンジ編」
と、書く方も赤面してしまうような企画になったわけです。
決行日時は2000年5月GW中某日。飛行機のチケットもレンタカーの手配も万全。後述する今回のターゲットのためのアイテムも揃えて、まさに後はその日を待つのみ、と、言う状態になりました。
と、こおで何か忘れているような...
そう。仲間です!!
今までのフィールディングとの大きな違いが今回がありました。
それは、今回は「一人で」フィールディングをするのです。
実はこれが今回の結果を大きく左右するのですが...
さて、そんなこんなで当日を迎えました。
今回のテーマの一つに「GWはフィールディングできるのか!?」というのがありました。
今まではもっぱら観光シーズンオフ(?)にフィールディングを行ってきたわけですが、諸事情により今回は日本国民大移動のGWという私のような邪道観光客にとっては過酷な条件下の期間です。多くの一般観光客に混じって、スネークフックをひっさげた汚い青年(?)が空港を、観光施設をうろうろし、あまつさえ四つん這いになってトカゲを追うような姿を晒すわけです。
結論から言うと、それは杞憂でした。確かに空港などでは人は多かったのですが、さほど自分のペースを乱されずに過ごせたことは今回の良かったことの一つです。
テーマが出てきたついでに今回の目標をリストアップすると。
です。
特に宮古島では昼行性のトカゲ類に興味深い種が多いので、天候に関してはとても気になりましたが、どうやら普段からの行いがよいのか、ほぼ毎日晴天に恵まれその点では不満はありませんでした。
宮古空港に降り立った私に対して、歓迎をしてくれるかのように沖縄の日差しが降り注ぎ、今回のフィールディングの成功の予感を感じさせずにいられません。
到着した時間が中途半端であったため、1日目の昼は下見と決め込みました。何より、朝は4時前に起床しているわけですから少しでも寝ておかないと大変なことになります。
下見と宿での腹ごしらえを済ませ、一眠りしたらいよいよフィールディング開始です。
今回は趣向を変えて、種類別にフィールディング報告をしていきたいと思います。
キノボリヤモリは外国からの帰化種であろうと言われ、近年は南西諸島の島々から少数の報告があるようです。今回は
「とある建物の夜間照明に他のヤモリと混じって見ることができる」
という情報を頼りに探索を開始しました。
夜になってから車で件の建物の近くへ行き懐中電灯とスネークフックを持ってそれらしきところを照らしてみます。
おお〜。いるわいるわ、ヤモリの数々。ほとんどは、もうおなじみホオグロヤモリです。中には意外にもフィールドでは初めての出会いであるオンナダケヤモリも混じっています。オンナダケヤモリは雄の個体が欲しかったので慎重にゲット。と言うのもオンナダケヤモリは皮膚が弱くすぐにはがれて擦り傷になるからです。また、奴のチャームポイントである太いしっぽもなるべく傷つけたくありません。簡単に目標のヤモリを捕まえてしまう自分の腕の上達ぶりに感心しながらもキノボリヤモリを探します。
と、窓の「さん」のところに小さく動く陰が...
その特徴ある妙に細長い姿に目を疑います。
おお〜。これぞまさしく珍ヤモリ!!キノボリヤモリ参上!!
思ったより動きは遅いのですが、想像以上に小さかったので持ってきたプラケースの中に落とし込むことに決定。幸い比較的フラットな面にいますし向こうも全くこちらを警戒している節はありません。目は確実にヤモリから放さず手探りだけでリュックの中からプラケースを取りだし、ヤモリの真下にセットします。手で進路と退路を塞ぎながら、そして一瞬パニックになったヤモリの動きにとまどいながらも確実にプラケース内に収容。まずは目標を一つクリアした安堵感に浸りながら、そしてプラケース内のヤモリを見ながら一服...
その後近くの亭(あずまや)に灯りを照らしてヤモリ探しを続けると屋根の裏になにか白い塊が...
「は、うっっっ...」
まさに絶句とはこのこと。何とそこには夥しい数のヤモリの卵があったのです!!数は...そう、孵化した後の殻まで入れれば300位はあるでしょうか。中には色が黒くなり、近いうちに孵化することがわかる卵もあります。(参考:オガサワラヤモリの卵)
近くを照らしてみて、その卵の母親が判明しました。照らされた先には、保護色のためか非常に顕著な濃い斑紋を持ったミナミヤモリがいました。おそらく、この界隈のミナミヤモリはここを産卵に適した場所を判断し、集中して産卵していたものと考えられます。ホオグロをはじめとした多くの帰化種に負けずに在来のヤモリもこうやって頑張っていることにしばし感動を味わうのでした。
そのミナミヤモリの中にあって変なヤモリ発見!!
「あのしっぽの巻き方...四肢の付け根の斑点...」
オガサワラヤモリです。これも帰化種なので、あまり気兼ねなく楽勝でゲット。
いや、しかし宮古島は外来ヤモリの天国だなぁ〜。と、あらたな感動を覚え、宮古島のヤモリ採りは十分な成果を収めることができたのでした。