新潟県立 自然科学館 プラネタリウム夏番組
  [スターウオッチング 〜さそり座をさがしに〜]  第1回
              
 夕暮れ時,今日も父,姉(未来),弟(のぞむ)の3人での夕食。姉弟は,いつものトンカツ料理にいささかうんざりしている。未来は,夏休みの理科の宿題について話しだす。

未来  「さそり座のスケッチだなんてどうしよう」
のぞむ「さそり座って,お母さんの星座じゃん」
未来  「でも,さそり座なんて見たことないし・・・」
父   「お父さんも見たことないなあ」
 ここで威厳を見せたい父。何か方法はないかと考え込む。やがて席を立って電話を始める。  
父   「あ,俺だよ俺。・・・うん・・そう。宿題でね。さそり座のスケッチをするんだって。・・・・・・うん,わかった,助かるよ」

そのかたわらで姉弟は小声でささやく。
のぞむ 「お母さんだったら知ってるよね!」
未来  「ねぇ〜」

 電話の終わった父は2人にむかってこう切り出した。 
父  「今度の日曜日にプラネタリウムに行こう!」

 自然科学館で3人を迎えたのは,父の大学時代の後輩とおるだった。
  
とおる「やあいらっしゃい。未来ちゃん,のぞむ君大きくなったなぁ」
とおるは,貸し切りのプラネタリウムを使ってスターウオッチングについて解説してくれるのだった。          (以下次回)

昇るさそり座
写真データ 
1997 年5月 28日 23:05〜15 50mm F2.8
コニカASA400フィルム 撮影地 岩船郡神林村 ポーラスター神林

 **プラネタリウム夏番組「スターウォッチング〜さそり座をさがしに」は,6月14日より 8月31日まで 新潟自然科学館で投影されました。
 *投影内容は,科学館の笠原氏のご好意で紹介しました。  
     
 スターウォッチング

  脚本 笠原 徹(新潟県立自然科学館),えびなみつる
      キャラクターデザイン えびなみつる  
      キャスト(声優) 未来・・鈴木砂織,父・・増岡 弘,のぞむ・・矢島晶子
                とおる・・塩屋浩三,?・・鶴 ひろみ 
          製作 五藤光学研究所 
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夏を告げるさそり座

 さそり座は夏を告げる星座である。梅雨の中休み,南の宵の空を見上げると,真っ先にとびこんでくるのがこのさそり座の雄大なS字のカーブだろう。真紅の一等星アンタレスを中心に,2〜3等星の明るい星が,見事なS字のカーブに並んで,しっぽの先を天の川へまきこんでいる。さそり座は,冬のオリオン座とならんで最も均整のとれた美しい星座といわれる。
 この配列には,昔の人々も気づいていて,星座誕生の地メソポタミアの古代遺跡から発掘される石柱や土柱の天球図にも,すでにその姿がかかれている。今から5千年も前のことである。
 ご存じのように,さそりは西アジア地方の砂漠にいる毒虫で,昔から人畜を悩まし,毒蛇などと同じように住民の恐怖の的となっていた生き物である。そんな毒虫を星座としてあてはめたのは,星の配列が似ていた他に,中心に赤々と輝くアンタレスを不気味な闇の力の象徴としてとらえたためであろう。
 
 ギリシャ神話ではこの星座のさそりは,猟師オリオンを刺し殺した大さそりとなっている。
 猟師オリオンは「天下に自分ほど強いものはいない」と自慢しては,森の動物たちを殺していた。これがオリンポスの神々の耳に入り怒りをかった。女神ヘーラはある日,オリオンがのっしのっしと歩いてくる道に大さそりを放って毒針で左足を刺させた。さそりの恐ろしい毒にかかってはさすがの勇士もたまらない。
 全身にたちまち毒がまわり,オリオンはあえなく息絶えてしまった。この大さそりはオリオンを刺し殺した功によって空にかけられ,黄道12星座の一つになったといわれている。
 その後,オリオンの方も彼に好意を寄せていた月の女神アルテミスの願いで星座にあげられた。しかしオリオンは星座になった後でもさそりを恐れ,さそり座が東にのぼってくると,いそいで西の地平線へかくれてしまい,さそりが西にしずむのを見とどけてから,おずおずと東から空にのぼってくるのだという。
 この話は,さそり座とオリオン座が天球面で正反対の場所に位置しているため,同時に顔を見せることがないことを巧みに神話に結びつけたものである。

 この他の国でも,さそり座はいろいろな形に見られていた。そのいくつかを紹介すると,中国ではこのS字のカーブを青竜(せいりゅう)という大きな竜の姿としてとらえている。日本の瀬戸内海の漁師たちはS字をつりざおに糸をつけた形とみて「魚つり星」「たいつり星」などと呼んでいた。
 太平洋のポリネシア諸島の人々もこのカーブを釣り針に見立てている。天地創造の神マウイが海の中からニュージーランド島をつりあげたときのつり針が,勢い余って天にひっかかったものであるというのだ。
 このように星座に対する見方や言い伝えは,その国独特のとらえ方があっておもしろい。

 さそり座は,双眼鏡,小望遠鏡を使って見られる二重星(2つ以上の星が近くに並んでいる)や星団(星の集まり)が多い。初夏の夜,S字の星の並びをたどりながら,それらを探してみてはいかがだろうか。

 平成9年7月1日発行 
       新潟日報ルート116「星ものがたり」NO.4より

*オリオンの死んだ理由はさそりのためでないという神話もありますオリオン座のページへどうぞ