胴長短足、まさに珍ヤモリ・キノボリヤモリ
撮影:「ばいかだ」

和名:キノボリヤモリ(ジャワキノボリヤモリ)


学名:Hemiphyllodactylus typus typus

分布
西表島、宮古島。国外では東南アジアからニューギニアを経て、太平洋の熱帯・亜熱帯の島々。広く人為分布しているものと思われます。
生態
街路樹など開けた環境にある樹木の樹皮下や葉鞘の隙間から見つかっていますが、屋外の建物の壁などにもついていることがあるようです。
海外の個体は1度に1〜2個の固着性の卵を竹の茎や樹皮下などに産み付けることなどが知られています。なお、指下板の発達が弱くあまりすべすべしたところなどを上るのは得意ではないようです。(「ばいかだ」さん情報)
日本ではメスしか見つかっていないため単為生殖をしている可能性も指摘されています。
全長
60〜80mm
参考文献
日本動物大百科5両生類・爬虫類・硬骨魚類:平凡社
爬虫類・両生類800種図鑑:ピーシーズ

解説
胴長短足の形態、指下板(いわゆる吸盤)の発達が悪い、単為生殖の可能性、少ない発見例など、変わったヤモリです。
なお、写真の個体のしっぽは自切した後の再生尾です。また、その特異な形態から多種と見間違えることはないと思いますがホオグロヤモリとは尾にトゲがないこと、オンナダケヤモリとは後肢後縁に膜状のひだがないこと、指下板に二分していないものがあること、オガサワラヤモリとは指下板が覆っている部分が少ないことなどで見分けられるはずです。オンナダケヤモリと一緒に写っている写真があります。
2000年5月に宮古島で採集した雌が9月になってから産卵しました。卵径は7×5mmという小ささです。3週間ほど経ってから他のヤモリの有精卵のように色がピンク色になってきたので、どうやら単為生殖は本当のようです。
卵は93日後の12月に無事孵化しました。孵化した幼体の体長は13mmで、尾まで入れると25mmでした。なぜか尾は赤い色が強いです。現在、ショウジョウバエを餌に飼育中です。
飼育
ホオグロヤモリと同様でよいと思われますがより小さな餌が必要になるかもしれません。
コメント
おそらく人為分布であると思われますが、もう立派な国産種の仲間入りです。謎だらけのヤモリですがこの風変わりなヤモリが平和に暮らしていける環境が永遠に続くことを祈ります。
写真を提供してくださった「ばいかだ」さんに心から感謝しお礼申し上げます。「ばいかだ」さんにメールを送りたい方は私、星野まで。 ※スパム対策のためメールアドレスの「@」の部分を「☆」に変えています。恐れ入りますが、メール作成画面起動後「宛先」欄の「ihoshi☆mb.infoweb.ne.jp」の中の「☆」を「@」に書き換えて下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。



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