ある意味幻のヤモリ・タシロヤモリ
撮影:「ばいかだ」

卵写真 幼体写真

和名:タシロヤモリ


学名:Hemidactylus bowringii

分布
奄美諸島、沖縄諸島、宮古諸島、八重山諸島に分布するとされますが奄美大島以外では最近の記録がないようです。台湾、東南アジアなど
生態
人家付近で夜間照明に集まるようです。昆虫を食べますが、その他の生態はほとんど不明です。
全長
90〜120mm
参考文献
日本動物大百科5両生類・爬虫類・硬骨魚類:平凡社

解説(6/16更新)
ホオグロヤモリと似ていますが尾部の突起環(トゲ)がないこと、大型鱗が混じらないことで見分けることができます。また、オンナダケヤモリとは後肢後縁に膜状のひだがないことと前肛孔(総排泄孔の前にある穴の開いた鱗の列)が穴の開いていない鱗によって分断されている(オンナダケは分断されない)ことで見分けられます。ミナミヤモリとは背中に大型鱗が混じらないことと指下板が二分することで見分けられます。
普段は無斑紋ですが、暗いところでは結構明瞭な横帯が現れて、一見「虎柄」のように見えます。
飼育(11/10更新)
ホオグロヤモリに準じます。
無事に奄美大島産の個体を1年以上飼育し、飼育下での交尾・産卵・孵化に至ったようですので、簡単に飼育状況を報告します。
飼育状況はオンナダケヤモリと一緒です。中型のプラケースに砂を敷いて、トリオ(雄1雌2)で飼育しています。シェルターは卵の紙パックを数枚重ねて。餌の種類や量もオンナダケと一緒です。
ただし、本種も結構激しい闘争をすることがあるようで、ケガをさせられている個体がいます。分けて飼育するか、大きめのケージが必要でしょう。
産卵はホオグロヤモリ同様に紙パック内にします。本種の卵はホオグロよりも粘着性があるようで、卵どうしがくっつく場合が多いです。しかし、壁や天井にはくっつきにくいようです。孵化した幼体はやはり小さいので「脱走」と「餌」に注意が必要です。
2001年6月に奄美大島で採集された雌の個体が持ち込みで産卵をしました。うかつにもの大きさを計測し忘れてしまいました...その後無事に孵化に至りました。孵化日数は70日。孵化幼体は体長が24ミリでした。オンナダケヤモリ幼体に似ていますが、親同様指の形(オンナダケは円形、タシロは細長い)で見分けられます。
コメント
地図上での分布は相当広いのですが、なぜか奄美大島とその属島以外ではあまり見られないようです。
実は加計呂間島産の妊娠していた雌の個体を持ち帰ったのですが、すぐに死なせてしまいました。ヤモリに限った話ではありませんがヤモリは特に妊娠中の個体にストレスに弱いような気がします。親の大きさの割に大きな卵を持っているかもしれません。 みなさんもお気をつけ下さい。採集する場合は妊娠していない雌と雄のペアを持ち帰ることをおすすめします。
写真を提供してくださった「ばいかだ」さんに心から感謝しお礼申し上げます。「ばいかだ」さんにメールを送りたい方は私、星野まで。 ※スパム対策のためメールアドレスの「@」の部分を「☆」に変えています。恐れ入りますが、メール作成画面起動後「宛先」欄の「ihoshi☆mb.infoweb.ne.jp」の中の「☆」を「@」に書き換えて下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。

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