LLC(冷却水)完全交換方法(クーラントを循環洗浄して完全交換)
DIYでLLCを完全交換する方法です。 ディーラーなど整備会社やガソリンスタンドで依頼すると、ラジエターコア(ラジエターコンデンサ)のみ LLCを抜き取り交換します。
しかし、LLCは他にエンジン内のウォータージャケットとヒーターホース(ヒーターコア)に 流れてるため、ラジエターコアだけでは恐らく1/3程度しか抜けていません。 そのため、2万Kmごとの交換が必要なわけです。
LLC完全交換は、シビック/インテグラにかかわらずメーカー車種に関係なく出来ます。 ヒーターホースを外して、ラジエターコアのキャップ口からホースで水を流すことで、 ラジエターコア、ウォータージャケット、ヒーターコアまで水を循環させて、 古いLLCの完全排出と清掃まで行うことが出来ます。
※ラジエターコアのみのLLC交換は抜き取ったぶんの継ぎ足しですが、
LLC完全交換では、LLCの全量を水道ホースを流すことで循環して全量抜き取るため、
清掃した上で完全に交換され、交換メンテナンスレベルは比較になりません。
(LLC完全交換することで適正のLLC濃度をしっかり出すことが出来ます。)
LLC(クーラント)の完全交換手順
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ヒーターホースのホースは圧力が高い方が外しやすいので軽く暖気してウォーターポンププライヤーでバンドを外して抜きます。 | ||
ラジエターコア(ラジエターコンデンサ)のドレンとラジエターキャップを外して古いLLCを抜き取ります。このときLLCは容器で受けてエンジンオイルと同じく廃棄物として処理します。 | ||
ラジエターコアのドレンを半締めにしてラジエターキャップからホースで水を注ぎます。そしてヒーターホースから汚れたLLCを排出します。片側を塞ぐことでヒーターホースコアも循環させます。 | ||
排出されるLLCが綺麗になったら、ホースとドレンを元に戻して新しいLLCを注入します。LLCは通常2リットルでOKですが純正より容量の多いSPOONアルミラジエタのため2.5リッター注入しました。 | ||
LLCタンクも清掃して新しいLLCを足します。LLCタンクはラジエターキャップの開閉弁により循環されるため、タンクの濃度はラジエターコアの濃度と等しくなり、そしてLLCが汚れればタンクも汚れてきます。 | ||
※LLCを注入する前に、ドレンからラジエターコアの水を抜いておきます。
ここまででLLCの完全交換作業はおわりです。次はエア抜き作業です。
LLC交換にはエア抜き作業が必須です。 ラジエターコアのみ交換でもエンジンのウォータジャケットのLLCが抜けて エア噛みを起こしオーバーヒートする場合もあります。 完全交換する場合でも水道ホースで水を循環させるため、エア噛みは殆どありませんが、 トラブルを未然に防ぐ意味でラジエターコア交換作業などと同じく、 エア抜き作業は必要です。
LLC(クーラント)のエア抜き作業
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LLCのエア抜きのため、エンジンを暖気してLLCを循環させます。(ラジエターキャップを外しておく。)LLCラインのエア抜きをするには、エンジンのサーモスタットが開く必要があります。そして、サーモスタットが開いた時にはじめてエンジン内のLLCのエアを抜くことができ、同時にヒーターホース内のエアも排出できます。 サーモスタット開の目安はラジエターファンが回ることで、サービスマニュアルの記述どおりファンが3度回ったことでLLCエア抜き終了とします。※LLCタンクはエンジンが冷えたときに減るので多めに補充しておきます。 | |
LLC交換作業での注意点を纏めておきます。
LLC交換は簡単に見えますが、車種によってはラジエターコアのLLC交換だけで、
ウォータージャケットの水が抜けてしまい、エア噛みで潤滑できずオーバーヒートするケースがあります。
LLC交換後のエア抜き作業は念入りに遣るべきで、ここがLLC交換の肝です。
LLC(クーラント)交換時の注意点
注意点 | 説明 |
ヒーターホースのホースバンドの取り外し/取り付け | ホースバンド取り外し時は、ホースパイプ自身が樹脂の場合は注意してください。プラスチックパーツはプライヤーなどで力を加えると砕ける危険があります。※ネジ式ホースバンドの締めすぎも危険です。 ヒーターホースを外す場所を室内のヒーターコアとの継ぎ目で外す場合には室内側で抜けないように注意します。室内で抜ければ当然室内のダッシュボードを取り外してヒーターコアを取り外す大掛かりな作業になります。/取り付け時はバンド位置は元の位置に取り付けないと水漏れの危険性があります。ホースにホースバンドの後が残ってるのでこれを目安に元の位置に取り付けます。※ネジ式ホースバンドを使う場合は締めすぎに注意してください。 |
エアコンは暖気側にしておく | ヒーターホース(ヒーターコア)にLLC(水)を循環させるにはヒーターホースのバルブを開く必要があります。冬場などに室内を暖気できるのはエンジン内のウォータジャケットを通過するLLCの熱を室内に引っ張ってるためです。この熱交換装置がヒーターコアです。ヒーターコアのバルブを開ける(エアコンのスイッチを暖気にする)ことでバルブを開いてLLCを循環することが出来ます。※エアコンのスイッチを暖気にするのはキーオンにしてスイッチを切り換えます。 |
LLCのエア抜き作業 | ヒーターホース内の循環のため室内を暖気にしてブロアーファンを低で回しておきます。サーモスタットが開き、ファンが回るまでには20〜30分ほどかかる場合があります。この時、スロットルバルブを開いて(又は軽くアクセルを踏む)エンジンを暖気するとファンを回す時間を早めることが出来ますが、やりすぎると循環する前にLLCの熱が高まってラジエターキャップ口からLLCが吹きこぼれる場合があるので注意します。キャップ口から気泡が僅かになればファンが1回まわすだけで十分エアが抜けています。※もともとホースで水を循環させるだけのためエア噛みはごく僅かです。 ※基本はファンが3回まわり、ラジエターキャップ口からの気泡が僅かになることでエア抜き完了とします。 ※作業終了後又は走行後エンジンが冷え切ってから、ラジエタータンクの水量確認とラジエターキャップ口が満水状態か確認して、少なければ水を補充します。 ※また安全のため、初走行時には水温系に気を配っておきましょう。 |
2槽式ラジエタなど特殊なラジエターコア | 2槽式ラジエタの場合はエアの抜けが悪い場合があります。恐らく1槽目にエアが噛んで抜けない場合があるのではないかと推測できます。特殊なラジエターコアには注意が必要です。 |
LLCに錆が混入してる場合 | LLCを完全交換するとウォーターポンプから異音がする場合があります。錆び付いたLLCの場合は適正交換時期にLLC交換がされてないため内部のウォーターポンプなどの金属パーツが錆びています。LLCを交換しても手遅れかと思います。内部の錆びにより他の問題も上がってくるかと思います。 |
高圧ラジエターキャップに注意 | 高圧ラジエターキャップを取り付けると、バンドからの漏れが心配です。そしてホースにかかる圧力により劣化したホースが破裂する危険性がありますので使わないでください。(私のEG6はアッパーホースが破裂しました。) ※ホース継ぎ目などからLLCが漏れる場合はサーモスタットが全開になりファンが回りだす最も高圧の時におきますので、タンクの水量が減っていく場合はLLCの漏れあとチェック(白く残る)と、ファンが回る高圧時のチェックをしましょう。 ※高圧ラジエターキャップは効果もなく、危険が付きまとうだけです。水温を下げるには、ラジエターコアを大容量に変えることが正しい選択です。 |
LLCをボディーに付着させない | LLCはボディなど塗装面に付着するとシミが残るので、直ぐに水で洗い流します。ワックスやポリマーを洗い流してしまうようなので、こぼしたところはコーティングし直したほうが良いでしょう。 |
ヒーターホースを外して交換すると、 LLCの完全交換と清掃まで行えます。 内部に鉄粉など不純物が混入してる場合には排出できます。 次回の交換スパンは10万Km放っておいても恐らく問題ありません。(保障は出来ませんが) それくらい、綺麗になり持続性があります。
※写真のラジエタはSPOON製40%コア増しラジエタですが、標準で1.3気圧ラジエターキャップが付いていました。
高圧なラジエターキャップはLLCホースのバンドから漏れ出す危険があります。
ラジエタの配管で最も圧力が増す時はラジエターファンが回ってるときで、
この時のみLLCが漏れるため、通常は漏れてない様に見えて問題がないと勘違いしてしまいます。
EACVやファースト・アイドル・バルブなどは、水温を計るためにLLCパイプを引き込んでいるため、
こういった細い配管の漏れは見落としがちです。
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