キャリパー・メンテナンス(スライドピン固着とパッド片減り防止)
ブレーキバランスが狂う最たる原因は、ディスク・ブレーキ・キャリパーのスライドピン固着によるディスクパッドの方減りだったりします。 ブレーキ・ローターがレコード盤上になってもブレーキ・バランスは悪くなりますが、この原因もキャリパー自身のメンテナンス不良も原因の一つにあると思います。
2年に1回の車検整備には、ブレーキパッド交換の必要がなくても、キャリパーを外してスライドピンの固着がないか確認し、ブレーキパッドには側面をペーパーで面取りと鳴き止めスプレーし、シムグリス交換とパッドが固定される箇所のグリス塗布。 この作業は昔は当たり前の整備でした。しかし現在は自動車整備業界の価格競争の激化で全くされていないと思います。
キャリパー固着によるブレーキの片効きをなくし、ディスクパッドの方減り予防のため、キャリパーに各2個あるスライドピンを4輪すべて合計8個のグリス交換&ブーツ交換を実施しました。
ディスク・ブレーキ・キャリパーのスライドピンのメンテナンスに必要な工具
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WAKOS製ブレーキグリスで、なんと3150円しました。(^^;;;汗 ブレーキ系全般に使える耐熱性、高潤滑性のシリコングリス。ドラムブレーキのカップ、キャリパーオーバーホール時などブレーキ全般に使えます。シリコングリスは基本的に整備箇所を選ばず使えます。 | |
上からウォーターホース・プーラー、プラスドライバー、10/12メガネレンチ、精密マイナスドライバー。ウォーターホースプーラー、精密マイナスドライバーはブーツ交換時に使用。プラスドライバーはスライドピン筒のグリス交換に使用。メガネレンチは12ミリを使いますが10/12を必ず使います。12/14では過剰トルクになるため柄の短いメガネレンチを使うのが定番です。 | |
ディーラーで購入したスライドピン・ブーツです。後輪が型番45234-S04-003で1個168円×4、前輪が型番45234-SR3-003で1個325円×4で8個合計1972円です。実はキャリパー・スライドピンの動きが硬くなってきてたのは後輪下側のため2個交換でも良かったのですが、この際なので8個全交換しました。 | |
フロント・ディスク・ブレーキ・キャリーパーのスライドピン交換
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フロントのブレーキ・ディスク・キャリパーです。別にフロントは交換の必要はないですがこの際なので全部交換します。 | |
スライドピンはこのブーツの中にグリスに覆われて入ってます。奥に見えるブレーキホースは、無限製ステンメッシュ・ブレーキホースです。ホースの動きも柔軟で純正より強度もあり超寿命で遣れなどは見られるはずもありませんでした。 | |
2本の12ミリボルトを10/12メガネレンチで外したところです。締め付けトルクがわからない場合は、外す前にボルトにペンで印を付けることをお勧めします。 | |
ブーツの部分にはこのようにスライドピンが入っています。EG6など一般のブレーキ・キャリパーは浮動式と呼ばれる方持ちキャリパーのため、スライドピンでキャリパー自身が動く構造になっています。そのためこの動きが悪化するとブレーキバッドの方減りが発生し4輪のブレーキバランスが狂ってしまいます。 | |
ブーツの拡大写真です。上下2個とも同じ型番のため4つのブーツは同じです。組み込み時ははめ込む向きがある点のみ注意します。 | |
ブーツとスライドピンを外したディスク・キャリパーです。プラスドライバーにウエスを巻いてこの穴のグリスを掃除します。ブレーキクリーナーを使ってもいいのですがエアガンがないため乾燥させられないので、錆びもないためウエスで軽く掃除で済ませました。というのも、+5万Km程度で2度目のキャリパーシール交換(オーバーホール)の予定だからです。 | |
スライドピンの穴にシリコングリスを詰め込み、ブーツの中もグリスを馴染ませておきます。作業はまず、ブーツをキャリパーステー側に付けておきます。ブーツがしっかり穴の溝に噛んでるかを引っ張って確認しておきます。 | |
スライドピンにもグリスをたっぷり付けて、ブーツを付けたスライドピン穴に入れます。実はここからが作業のテクニックが必要になります。 | |
スライドピンをスライドしてグリスを馴染ませておきます。そしてこの時ブーツが極端に膨らんだり、経こんだりしてるか確認し、適せんブーツのエアを調整して置きます。ここで前後左右からブーツがしっかり収まってるかも確認しておきます。ブレーキ・キャリパーを戻して終了です。 | |
リヤ・ディスク・ブレーキ・キャリーパーのスライドピン交換
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リヤのブレーキ・ディスク・キャリパーです。リヤはフロントより若干作業はやりずらいですが、EG6はそれでも作業は簡単です。小型車の4輪ディスクブレーキはブレーキ系メンテナンスは簡単にできます。でかい車は勘弁してほしいです。(^^;;;汗 シビックEG6、DC2インテグラぐらいがDIY整備はちょうどいいです。 | |
まずはサイドブレーキ系を覆ってるカバーを2本のボルトを緩めて外します。 | |
外すとブレーキ・ホースとサイドブレーキのワイヤー部が露出します。 | |
外したカバーです。このカバーの取り付け/取り外しが結構面倒で、最近の車はこのようなカバーもないそうですし外して軽量化も考えましたが、外装パーツのため安全のため面倒でもしっかり付けてます。 | |
リヤのスライドピン・ブーツはこのような感じで2つあります。フロントと同じく中にスライドピンがあります。 | |
キャリパーの2本のボルトを外したところです。リヤの下側がスライドピンの動きが悪くなっていました。今回の本当の目的はこのリヤキャリパーのスライドピンのグリス入れ換えにあります。動きの悪化はパッドの方減りを招き、災厄は固着によってキャリパーアセンブリ交換が待っています。・・・今回は若干の動きの悪さでのメンテナンスです。パッドの方減りも全くありません。 | |
実はスライドピンは片一方はメッキ加工され一方はメッキされていません。上下2本のスライドピンはついていた場所にしっかり組みつけることが必要です。 | |
外したブーツです。リヤも上下2箇所とも同じ型番のため4箇所とも同じです。取り付け時は向きがある点だけ注意が必要です。 | |
フロントと同じく、スライドピン穴を清掃し、ブーツを先に取り付け、スライドピンを押し込みます。同じようにブーツの取り付け部が圧力で一部外れるので、精密マイナスドライバで傷をつけないように気をつけて押し込みます。この作業と、スライドピンを動かした時のブーツの膨らみ調整が最も重要です。 | |
ブレーキ・ディスク・キャリパーのシール交換(オーバーホール)は10年10万Km過ぎるとメンテナンスが必要になってきます。 EG6もこのタイミングで105000Kmで二日がかりでオーバーホールしました。 年数と走行距離が増すとどうしてもスライドピンの動きは悪くなってきます。 5年後には2度目のキャリパー・オーバーホールも必要だと考えています。 車はメンテナンスすべき箇所が多く、しっかり順番にメンテナンスしても順繰り回ってメンテナンスが必要になります。 必ずシール交換次期が来ると思いますが、果たして2度目のキャリパーシール交換が可能なのか? それともアセンブリ交換がベストか? 解体でキャリパーを入手すると間違いなく状態が悪いので、・・・いずれ考えておく必要があります。
キャリパー・スライドピン&ブーツ交換後の走行テストをしました。
全く体感はありません。当然ですが。(^^;)
凍った路面、雪が積もった路面でのブレーキングで過去にEG6でスピンしたことは一度もありませんが、これもブレーキの制動バランスがしっかりしてるためだと思います。
一般整備だけ、又は整備不良の車ではブレーキの制動バランスから制動時に滑ったときにスピンして真っ直ぐ止まらない車もあります。
ABSの必要性、スタッドレスタイヤの必要性。ブレーキの制動に関しては、しっかりメンテナンスしてあるため、どうしても必要と感じたことはないです。
スライド・ピンの動きが悪化すると、ブレーキパッドが方減りしてきます。 方減りするということは、ブレーキパッドに平行に製動力が伝わってないことが原因です。 方持ちキャリパーはスライド・ピンの動きが重要でスライド・ピンのグリス切れなどで動きが悪くなると、 ブレーキパッドの寿命が早まるだけでなく、4輪の制動バランスまで狂うため危険なうえ、車検にもパスできなくなることがあります。 |