| 断弦 |
| 有吉さんが文壇デビューを果たした「地唄」が、この作品の第2章になっている。著者の書いた初めての長編作。地唄の世界に取材した作品で、父と娘の確執から始まり、伝統の継承の難しさが描かれている。 |
| 白扇抄 |
| 日舞の稽古場を舞台にした作品。古く独特の色合いを持つ世界が、純白な素人娘との対比の中に描き出される。 |
| 連舞 |
| 日本舞踊という古典芸能の世界に取材した作品。梶川流の町師匠を母に持つ秋子の、踊りに賭けた青春が描かれている。ひたむきに踊る秋子の姿に、共感を覚えることはまちがいない。連作に『乱舞』がある。 |
| 乱舞 |
| 日舞の世界に取材した『連舞』の続編。家元夫人として、梶川流を陰で支えて来た秋子。夫の急死にあって、彼女はどう対処して行くのか。芸術家として、一人の人間として、大成して行く秋子の姿が描かれる。 |
| 一の糸 |
| 文楽の三味線引きに惚れ込んだ茜の物語。著者の、伝統芸能への造詣の深さが如実に現われた作品だ。芸道一筋に打ち込む男と、その陰で健気に奮闘する女の姿が描かれている。 |
| 人形浄瑠璃 |
| 古典芸能である文楽の世界に取材した作品である。芸に生きる玉次郎の苦闘が描かれている。同じく文楽の世界を扱った『一の糸』とあわせて読むと興味深い。 |
| 帯 |
| 桂子と伯母の富代のある一日が描かれる。富代と、彼女の着付けを手伝った文さんの姿を通して「老い」を考えさせられる作品。 |
| 墨 |
| 着物に墨絵を描く職人と、その着手である舞踊家の話。着物の描写が最もすばらしい作品のひとつ。 |
| 一文字 |
| 有吉さんが、かつて付き合いのあった日舞の梶川紫舟のことを振り返ったエッセイ。 |
| とろろ昆布 |
| 日舞の指南所を舞台に、3人の若い娘たちの姿が描かれている作品。 |
| うるし |
| 輪島塗の老舗の主人の思い出話。うるしに被れて、たいへんなことになった芸者のことが語られる。 |
| まっしろけのけ |
| 役者の顔に化粧を施す専門職:顔師の物語。顔におしろいを塗りたくったら「まっしろけのけ」! |
| 黒衣(くろご) |
| 「目立たない」ということが特徴で、長年、黒衣を務めた役者の話。 |
| キリクビ |
| 舞台用の小道具で、切り首を専門に製作する職人の物語。 |
| 役者廃業 |
| 鮨屋の主人が役者を廃業した経緯を語る話。珍しく作中で「有吉さん」と呼びかけているのが実話っぽさを感じさせる作品。 |
| 二代の生けり |
| 有吉さんがニューギニアから帰り、マラリアを発症して入院していたときに、見舞いに訪れた足袋屋の主人の思い出話。 『女二人のニューギニア』とあわせて読むとおもしろい。 |
| 出雲の阿国 |
| 秀吉から家康へと移り変わる時代を背景に、歌舞伎の創始者と言われる阿国の生涯を描いている。有吉文学切っての大作で、綿密な調査に基づいて描かれた、優れた歴史小説である。 |